日本カーリング協会が来年2月に横浜市で開催される日本選手権に向けた準備を進めている。7日にはトップ選手が市内の小学校を訪問し、競技や大会をアピール。一方で協賛企業の輪を広げ、チケット収入に頼らない大会運営を目指す。悲願の首都圏初開催を人気拡大への踏み台にできるか。日本カーリング界の挑戦に注目が集まる。
「もっと、あなたの近くへ」
7日、女子日本代表として2018年平昌五輪で銅メダル、22年北京五輪で銀メダルを獲得した藤沢五月(ロコ・ソラーレ)、平昌五輪男子日本代表の山口剛史(SC軽井沢)の両選手が市内の小学校を訪れ、フロアカーリングを行うなどし、児童と交流した。藤沢選手は「横浜が全体的にカーリングで盛り上がってくれればうれしい」と訴えた。
「カーリングはもっともっとあなたの近くへ」-。大会ポスターに刻まれた言葉は、大会に懸ける関係者の願いそのものだろう。
日本協会の酒巻智副会長は「首都圏で日本選手権をやれたら、何かが変わるという気持ちはみんな持っていたと思う」と話す。そして、「今は(カーリングを見るのは五輪が開催される)4年に1度とか、日本選手権があっても遠くて行けないという状況で、あまりメジャーではない。皆さんの生活の中で普通に見に行ける環境になれたら」と思い描く。
関係者によると、北海道や長野県など寒冷地で行われてきた日本選手権の首都圏開催を最初に模索したのは2017年。だが、大会開催には準備期間を含めて約3週間、会場となるリンクを借りる必要がある。いくつかのリンクに打診したが、日程が詰まっており、断念した。
次に動いたのは21年の大会だった。平昌五輪で女子日本代表が銅メダルを獲得してブームが起き、横浜市のコーセー新横浜スケートセンターで開催することになったが、コロナ禍で中止に。それでも横浜市との関係を維持すべく、定期的にカーリング教室などを実施してきた。そんな努力が実り、25年大会の「横浜BUNTAI」(同市中区)での開催となった。
26年以降も横浜開催を希望
カーリング専用施設でないだけでなくリンクもない分、費用はかかり、氷を張るだけでも数千万円が必要になる。それでもチケット収入抜きで赤字にならないことを目指すという。客席数は100~200程度のカーリング専用施設をはるかに上回る約2千人を見込むが、「(テレビでしか見たことがない人たちにも)みんなで見に来てもらえるように、チケットは安くする」ためだ。
手応えもある。4枠のトップスポンサーがすでに埋まるなど協賛企業は増えており、酒巻副会長は「(横浜で開催することで)見られ方が違うところはある」と実感。26年以降の日本選手権についても横浜での開催を希望する。
横浜市が共催になる見通しであることも追い風になっているようだ。そうなると、会場使用料が大幅に割引になる。来年の日本選手権の先には29年世界女子選手権招致も視野に入れており、市スポーツ振興課では「(大会開催で)市のネームバリューが上がるし、経済波及効果もある」とその意義を強調する。
技術面でも、リンクがないスポーツアリーナでの開催が難しくないことを証明できれば、他の大会の開催も全国各地で検討できるようになる。4月26日の大会発表会見の際、同協会の貝森輝幸会長が「日本のカーリングの歴史を変える大会になる」と口にしたのは、決して大げさではない。
ようやく巡ってきたチャンス。同協会では、会場の大型モニターの利用法やルール解説の仕方を含め、来場者にいかに分かりやすく、楽しんでもらえるようにするかの検討を進めている。(橋本謙太郎)




