正論2月号

政界なんだかなあ タガ緩み、ふらつき始めた自民党 産経新聞論説委員・政治部編集委員 阿比留瑠比

東京・永田町の自民党本部

 ※この記事は、月刊「正論2月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック。

◇

 安倍晋三前首相という重石が取れると、タガが外れてすぐ緩み出すのが自民、公明の与党両党であり、霞が関の官僚らである。安倍氏が総理・自民党総裁の座に就いているときは「保守」の装いをしていても、安倍氏が退くと途端に世論迎合のポピュリスト政党の本性が表れる。

 自公両党は平成十九年九月に、「戦後レジームからの脱却」を掲げた第一次安倍内閣が潰えた後、安倍氏とは政治信条や主義、主張が正反対だとすらいえる福田康夫氏にすぐさまなびいた。

 あの時の恥も外聞もないが、あっけらかんとした放縦な明るさを感じさせた光景が今、再現されている。政府・与党は左派・和式リベラル勢力となれ合い、骨抜きになりつつあるのである。強い既視感を覚え、その意味では自民党は変わらないなと感じる。

 二十年以上前、当時はまだ若手議員だった安倍氏と、自民党内の親中・リベラル派の代表だった加藤紘一元幹事長の贖罪史観に基づく左派的言動について、雑談を交わしたことがある。

 筆者が「困ったものですね」というと、安倍氏は答えた。

 「まあ、だけど私はあんまり心配していないんだけどね。加藤さんのような考え方の人は、党内を見渡しても加藤さんの下の世代にはあんまりいないだろう。だから将来的には大丈夫だ」

 確かに現在、自民党には当時の加藤氏や同じく親中・リベラル派の河野洋平元総裁のような極端に左傾した意見の持ち主はほとんど見当たらない。加藤氏の

ように、当時は社民党に属していた辻元清美・立憲民主党副代表や村山富市元首相らに「リベラルじゃね」とほめられる人物が主流派だった時代とは違う。

 特に自民党が平成二十一年九月に民主党に政権を奪われ下野して以降は、民主党との対立軸を明確にし、党内を一つにまとめるために保守的な政策を打ち出してきた経緯もある。安倍氏退任後に起きたこと とはいうものの、自民党は一皮むけばノンポリ政党である。油断すると、右だろうと左だろうと選挙で当選さえすればいいという素顔をのぞかせる。実情は、今やピンク色どころか真っ赤な政党であることを隠せなくなった立憲民主党とも、そう変わらない。

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