林芳正官房長官は16日、東京都内で開かれた北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けたシンポジウムに出席し、兼務する拉致問題担当相としての職務を本格化させた。岸田文雄首相が掲げる金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談に向けたハイレベル協議に道筋をつけることができるか、外相経験を持つ林氏の手腕が試される。
「拉致問題は岸田政権の最重要課題であり、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題だ」
林氏はシンポジウムでこう訴え、続く言葉で「日本国民が心を一つにして、すべての拉致被害者の帰国実現への強い意志を示すことが重要だ」と強調した。これに先立って拉致問題啓発のための車座対話にも出席し、約10人の大学生に向けて「拉致問題は決して過去の出来事ではない。現在でも被害者が自由を奪われて厳しい状況にある。若い世代の力を借りて啓発をしていくことが大事だ」と呼びかけた。
岸田政権にとって、拉致問題を受け持ってきた松野博一前官房長官が、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題で交代した影響は決して小さくない。松野氏は、拉致被害者家族と頻繁に面会を重ねて信頼関係を築いてきたほか、ハイレベル協議実現に向けた北朝鮮側への働きかけにも深く関与していたとみられる。
一方、林氏には外相経験があり、米国や韓国などにパイプを持つ。拉致被害者家族にとって残された時間が刻一刻と少なくなる中、林氏は自らの強みを生かし、政権の最重要課題に取りかかる。(永原慎吾)




