福島県の沖は親潮と黒潮がぶつかる潮目の海です。「アクアマリンふくしま」はその豊かな潮目の海をテーマに、南は黒潮の源流域である熱帯アジアから北は親潮の源流域であるオホーツク海の生物まで展示しています。
「北の海の海獣・海鳥」コーナーでは、北部太平洋に生息する海獣類を展示しており、その迫力ある動物たちの姿は来館者に人気となっています。海獣とは海に生息する哺乳類の総称で、当館では4種類の海獣を飼育しています。
アザラシ水槽では、〝ゴマちゃん〟の愛称でもよく知られているゴマフアザラシを展示しています。真っ白い産毛の生えた子供の姿は有名ですが、その白い毛は生まれてから数週間で生え変わり、親と同じ姿になってしまいます。当館では展示水槽で出産させるので、運が良いとその瞬間に立ち会えることもあります。
また、涼しい時期限定ですが、クラカケアザラシも展示しています。暑さに弱く病気にもなりやすいため、長期飼育が非常に難しい種類です。そのため現在では、世界でも当館でしか見ることのできない貴重なアザラシとなっています。
トド水槽では、現在3頭のトドが展示されています。500キロを超える大きな雄の個体が岩の上から飛び込む姿はたいへん迫力があります。今年の初め、東京湾にメスのトドが迷い込みましたが、親潮の影響が強くなる冬には、北の海に生息する海獣たちがまれに本来の生息地ではない海域に流されて迷い込んでくることもあります。
当館でも何らかの理由で砂浜や、港の中に迷い込んできた海獣たちを保護することがあります。一番多く保護される海獣は、キタオットセイというアシカの仲間です。当館では2頭のキタオットセイが飼育されていますが、それとは別に、数年に一度の割合で生きた野生のキタオットセイを保護します。
群れからはぐれ、餌を取れずに衰弱した個体の場合、餌をたっぷり食べさせ太らせれば、すぐに海に帰すこともできます。しかし、ケガや病気が原因で保護された個体は長期の治療が必要になります。
オットセイなどアシカの仲間は頭が良いので1週間もすると人に慣れ、自力で餌を食べられるようになります。人に慣れた個体は非常に愛くるしく、そのまま水槽で飼育しておきたいところですが、原則、元気になった個体は海に放します。
寒い冬の海をじっくり観察する方は少ないかもしれませんが、この時期だからこそ思いがけない動物たちに出合えるかもしれません。アクアマリンふくしまの目の前の海にも、まれにキタオットセイやイルカなどが入り込むことがあります。一度目をこらしてじっくり探してみませんか。(アクアマリンふくしま獣医師 富原聖一)
アクアマリンふくしま
福島県いわき市小名浜字辰巳町50▽開館時間=午前9時~午後5時(3月21日~11月30日は午後5時半)▽入館料=一般1850円、小~高校生900円、未就学児は無料▽年中無休▽0246・73・2525






