外交文書

政府、金日成の死去4年前から混乱警戒

1990年9月、ニューヨークのホテルでブッシュ(父)米大統領(左)と会談する海部俊樹首相(AP=共同)
1990年9月、ニューヨークのホテルでブッシュ(父)米大統領(左)と会談する海部俊樹首相(AP=共同)

政府が北朝鮮建国の指導者、金日成(キム・イルソン)主席が死去する4年前から死去後の混乱を想定し、警戒を強めていたことが22日、外務省が一般公開した外交文書で明らかになった。ただ、こうした事実は公表されず、対外発表に向けた文書からは削除された。

文書は1990(平成2)年3月に当時の海部俊樹首相とブッシュ(父)米大統領の首脳会談に向けて作成された「発言・応答要領」。北朝鮮が現実路線に転換するまで紆余(うよ)曲折があるとし、「例えば金日成死亡後の権力闘争」を挙げ、「その過程で却(かえ)って朝鮮半島情勢が不安定化する可能性あり。今後十数年が正念場」と記された。

ただ、その後の外務省内の調整で、記者説明資料からは該当部分を削除。実際の日米首脳会談でも海部氏は「アジアにおける最大の不安定要因が北朝鮮」などと述べるにとどめていた。金主席は94年7月に死去した。