主張

蔓延防止4県追加 政府は戦いの前面に立て

 危機に際しての施策の要諦は「着手は果断に、撤退は慎重に」であるはずだ。政府や自治体の新型コロナウイルス対策はこれに逆行しているように映る。その結果が、現在の「第4波」だ。

 反省を生かしてなんとかこれ以上の感染蔓延(まんえん)を押さえ込んでほしい。

 政府が「蔓延防止等重点措置」の適用対象に、埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県を追加した。期間は20日から5月11日までとした。これまでは金曜の決定、翌週月曜からの実施だったが、20日の火曜となったのはなぜか。

 各県議会への説明を要するというなら、地方政治の怠慢である。ウイルスは政治日程など考慮しない。待ってもくれない。

 同じくウイルスは県境も意識しない。首都圏3県は東京都に8日遅れての重点措置対象となる。通勤・生活圏が重なる隣接地域で感染が拡大することは、十分に予想できたはずで、見通しの甘さを象徴する。

 首都圏に先んじて3月1日に緊急事態宣言が解除された大阪府では変異株が猛威を振るい、重症患者の転院先が容易に見つからないなど、医療体制はすでに、事実上の崩壊状態にある。これが早すぎた撤退の結果である。

 隣接する奈良県でも新型コロナ感染者の病床使用率が高くなっており、16日の基本的対処方針分科会でも重点措置などの対応を求める声が上がったが、西村康稔経済再生担当相は「まずは関西経済界にテレワークをお願いし、感染防止策を徹底する」と慎重な構えを崩していない。福岡県についても同様の指摘があったが、西村氏は「状況を確認しながら、必要があれば機動的に対応していきたい」と述べるにとどめた。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は14日の衆院内閣委員会で、現在の新型コロナの感染状況について「いわゆる『第4波』と言って差し支えない」と語った。一方で菅義偉首相は参院本会議で「現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていない」と述べた。

 政府と分科会、各自治体は危機感を共有できているか。甚だ心もとない。変異株という新たな脅威と対峙(たいじ)すべきは政府である。世界に大きく後れをとっているワクチン接種状況の改善を含め、国が前面に立たなければ、この国難を乗り切ることはできない。

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