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『猫がいなけりゃ息もできない』村山由佳著
美しく気高く、愛らしい目をした三毛猫「もみじ」。濃密な時をともに過ごし、17年間の生を駆け抜けていった愛猫との最後の1年間を、人気作家がつづっている。もともとウェブで連載され、感動と共感の輪が広がったエッセーだ(私も最後の方は、読みながらずっと泣いていた)。
最初の夫と過ごした千葉・鴨川の家を飛び出し、東京のマンションへ。やがて長野の軽井沢に移り住み、新たなパートナーを得る。その間には実父の死もあった。波乱に満ちた人生を送る作家の横にはいつも「もみじ」がいた。ある日、作家はそんな盟友の口の中に悪性の腫瘤(しゅりゅう)ができていて、余命が短いことを知る。いつかは訪れてしまう悲しい別れと向き合う日々の始まりだった…。
迫りくる「もみじ」の死を恐れて、じたばたするのは周囲の人間ばかり。猫は言葉を持たないけれど、表現力はすごく豊かだ。「もみじ」は作家のベッドに上がってきては甘え、特徴的なダミ声で周囲をなごます。病に侵されても文句は言わず、与えられた環境の中で最大限に生きる。自分の運命を受け入れるようにして。その静かな最期は、作家の死生観も変えていく。




