主要企業の労使が意見を交わす経団連の「労使フォーラム」が28日に東京都内で開かれ、平成31年の春闘が事実上スタートする。今春闘は経団連が基本給を底上げするベースアップ(ベア)を重視する従来路線からの転換を打ち出し、労働組合側もベアにこだわらない賃上げを求める動きが出ている。新たな賃上げのあり方を模索する展開となりそうだ。
「そもそも賃上げは、政府に要請されて行うものではない」。経団連が22日に発表した春闘の指針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」では、政府が賃上げの旗振り役を担う「官製春闘」に否定的な表現が明記された。
今春闘では、経団連が働き方改革などを含めた「多様な方法による総合的な処遇改善」を掲げ、ベアについては「収益が安定的に拡大している企業では選択肢」とする。労組側も電機連合こそベア3千円以上の要求を掲げるが、自動車総連はベアの統一要求を見送り、全トヨタ労連もベアを前面に掲げず、定期昇給を含めた総額での賃上げ要求を傘下労組に促す。
外資系企業との人材獲得競争も進む中、今春闘では労使で新たな賃上げのあり方をどう模索していくかが焦点だ。経団連はグローバル事業で通用する優秀な人材を育てるための処遇を念頭に、一律・横並びの賃上げではなく、子育て世代への支援やボーナスの増額などを含めた「多様な選択肢」で、労組側の理解を得たい考えだ。
これに対し連合は「月例賃金は安定安心の基礎」(神津里季生会長)と経団連のベア重視からの脱却方針に反論している。ただ連合は企業間格差の是正も課題としており、統一ベア方式にこだわると、大手と中小企業の賃金水準の格差は縮まらないというジレンマも抱えている。



