主張

失業率の上昇 雇用の安全網強化を急げ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い雇用情勢が厳しさを増している。8月の完全失業率は前月に比べて0.1ポイント悪化し3.0%を記録した。3%台に乗ったのは3年3カ月ぶりである。

 飲食業における解雇や雇い止めは、2月からの累計で1万人を突破した。とくに非正規社員の雇用調整が拡大している。

 政府の持続化給付金などの支援で事業を継続してきた中小・零細企業でも、9月から倒産や事業停止に追い込まれる事例が増え始めている。年末にかけてその勢いが強まる恐れがあり、失業者の増加に警戒が必要だ。

 政府は従業員を解雇せず休業させた企業に支払う雇用調整助成金の特例を年末まで延長した。この再延長も含め、雇用悪化が深刻化する事態に備えねばならない。

 8月の完全失業者は前年同月に比べて49万人増加し、206万人となった。失業者が200万人の大台に乗ったのも3年3カ月ぶりだ。1人当たりの求人数を示す有効求人倍率も8月は1.04倍と8カ月連続で悪化し、6年7カ月ぶりの低水準となった。

 コロナ禍の影響が出始めた2月から今月2日までの時点で、解雇や雇い止めをされた人は累計6万3347人にのぼった。業種別では製造業に続いて飲食業でも1万人を超えた。雇用調整の動きが幅広い業種に広がりつつあり、注視する必要がある。

 こうした動きに伴い、雇用調整助成金の支給も急増している。2月から今月初旬までで1兆6千億円を超え、新型コロナ対策で増やした1兆5千億円の予算枠を上回った。政府は中小企業向けの助成率を引き上げるなどの特例措置を12月末まで延長したが、その後は段階的に縮小する方針だ。

 ただ、コロナ禍の収束はいまだ見通しが立っていない。企業の倒産が増加するなど雇用情勢が一段と厳しくなる場合に備え、特例の再延長など雇用の安全網を強化すべきである。財源の確保も必要に応じて急がねばならない。

 円滑な労働移動を促す対策も求められる。製造業や飲食業の雇用情勢が悪化する一方、医療・福祉や建設業などは持ち直す傾向にある。求職者と求人企業のマッチング機能を向上させるため、ハローワークの相談態勢を強化したい。求職者の技能を高める適切な職業訓練も重要である。

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