【台北=西見由章】中国の習近平国家主席を風刺した漫才師に対し、交通事故を装って重傷を負わせようとしたとして、台湾の検察当局は21日、台湾籍の5人を重傷害未遂罪などで起訴した。検察側は中国共産党の指示による「越境弾圧」だと指弾している。台湾では今年、現地でシンクタンクを主宰する元産経新聞記者が中国籍のマフィア構成員から殴打されるなど、中国当局による越境の言論弾圧とみられる事件が相次いでいる。
ことの発端は台湾の芸人、黄逸豪さん(44)が昨年12月に投稿した相声(中華圏の漫才)の舞台動画だ。黄さんは習氏について「その肥満体型はまるで(くまの)プーさんのようだ」などと揶揄(やゆ)。「憲法を改正して(国家主席の任期制限をなくし)皇帝になった」と個人独裁体制を非難し、習政権のコロナウイルス禍での厳格な「ゼロコロナ」政策や「一帯一路」構想、「戦狼外交」などにも批判の矛先を向けた。
黄さんはその後、中国当局による「越境弾圧」に直面する。今年5月、黄さんの舞台が予定されていた台北市の劇場に糞便入りのペンキがまかれる事件が発生。9月には今回の〝偽装交通事故〟が起きた。
