北朝鮮はなぜ日本人を拉致したのか。今、何を求めているのか。北朝鮮による日本人拉致被害者の一人で平成14年に帰国した蓮池薫さん(68)が2月7日、広島市内で講演し、北朝鮮の狙いを推測した。「絶対に許さないという若い世代の存在が最大の北への圧力」。拉致問題の解決に向けては日本政府に硬軟織り交ぜた交渉を求め、国民にも絶えず関心を持ち続けてほしいと訴えた。要旨を2回に分けて紹介する。
格好のターゲット
北朝鮮はなぜ13歳の幼い子(横田めぐみさん)を拉致したのか。拉致を認めた際に日本側が問うと北朝鮮側は「たまたまだ」と答えた。工作員が北朝鮮に帰国すべく新潟市内を通って海辺に向かう途中でめぐみさんに目撃されたからだ、と。もっともらしく聞こえる。
めぐみさんが拉致されたのは(昭和52年)11月15日午後6時半頃。拉致問題を検証している人が数年後の同じ日時、現場を訪ねたところ、真っ暗だった。めぐみさんは一体何を見ることができたというのか。(北朝鮮側の説明は)おかしい、となる。
めぐみさんの母親、早紀江さんは私にこう言った。「めぐみがいなくなる数十分前に近くの通りで女子高生が拉致されそうになった」。その子はテニス部員で部活終わりで帰る途中、2人組の男とすれ違いざまに追いかけられた。ラケットを握りしめて必死で逃げて家にたどり着いたという。
その子の母から早紀江さんがその日のできごとを聞き、めぐみさん拉致は単にめぐみさんに(工作員が)見られてしまったからではないと思ったようだ。私もそう思う。
北朝鮮は若い日本人、特に女性を連れ去って教育し、工作員として利用しようと考えていた。トップが秘密工作機関に指示したのが1977(昭和52)年頃とされる。鎖国下のような北朝鮮という国で海外で活躍する工作員を育てるのは非常に難しい。だったら、いろんな国から連れてくればいいというわけだ。
