本命校の合格発表前に、進学を予定しない併願の大学などへ入学資格を確保するために入学金を支払う「二重払い」。仕方ないこととは思いつつ、入学しない学校に入学金を支払うことは理不尽にも感じる人もいるだろう。文部科学省は入学を辞退しても入学金が返還されない現状について昨年6月、負担軽減の方策を検討するよう私立大学へ通知を出した。
ただ、文部科学省が昨年12月に公表した各大学への調査結果で、入学金の返還など受験生の負担軽減策を取った大学は全体の1割程度にとどまることが明らかになった。調査は全国の私立大学や短期大学836校を対象に昨年11月に実施。令和8年度入試で受験生の負担軽減策を取ったのは9・9%にあたる83校で、入学料の一部、または全額返還や、納付期限の後ろ倒しなどの対応を行うという。
桃山学院大(大阪府和泉市)は昨夏、併願入試で合格し、入学手続きをした受験生が入学を辞退した場合、入学金の8割を返還すると公表。入学金の返還は美作大(岡山県津山市)が昨年7月、国公立大に進学し、美作大への入学を辞退する受験生に限って、入学金を全額返還すると明らかにしていたが、桃山学院大によると、条件を設けずに辞退者全員に入学金を返還するのは珍しいという。
大学の担当者は「確実に減収となる」としているが、受験生の進路選択の支援になればと対応を決めたとしている。
入学金の二重払いを巡っては、大阪府の吉村洋文知事も昨年4月、自身も親として大学受験を経験したことを踏まえ、「入学しないのに入学金が返還されないのはどうなのか。虫のいい話ですかね?」と記者団に問題を指摘している。
こうしたこともあって、6月には文科省が全国の私立大に対し、合格者が納付する入学金の負担軽減を検討するよう求める通知を出したことが、一部の大学の制度見直しの動きにつながったようだ。
河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは「この入試では6月の通知で制度改正が間に合わなかった大学が大半だったが、来年度以降は見直す動きが広がる可能性はある」とみている。














