今年のノーベル賞に、2人の日本人研究者の受賞が決まった。大阪大の坂口志文特任教授が生理学・医学賞に、京都大の北川進特別教授が化学賞にそれぞれ輝いた。主要各紙はこの快挙を称(たた)える一方で、短期間での成果が求められる近年の日本の研究環境に憂慮を示した。産経が「基礎研究の強化を急ぎ科学を立て直す契機としたい」とするなど、各紙とも研究力の維持、強化のために国による長期的な支援の必要性を訴えた。
免疫はないと困るが、強すぎると自分自身の体を攻撃する自己免疫疾患を引き起こす―。坂口氏はこの病気が普段生じないのは、過度の免疫を抑える仕組みがあるためだと提唱した。その役割を担う「制御性T細胞」を地道な研究で発見し、がんや自己免疫疾患などの新たな治療法の開発に道を開いた。
当初は異端の学説として評価されず、自説を科学的に証明するまで約20年、ノーベル賞の栄誉まで約40年かかった。坂口氏のこうした歩みについて、産経は「異端であってもその独創性を認め、留学中に研究費を与え続けた米科学界の懐の深さ」がそれを支えたと指摘した。読売も「孤立に耐え、研究を進めた。揺るがぬ信念に基づいて根源的な問題を追求した」と敬意を表した。
