アライグマの捕獲数急増は空き家増加も一因? 捕獲器購入に補助金出す自治体も 埼玉

漫画のモデルにもなり愛らしいイメージがあるが、専門家によると、ずうずうしく粗暴な性格だというアライグマ。埼玉県内で農家や家庭菜園の作物を食い荒らす被害が広がり、捕獲数が増えている。勝手に捕まえるのは法律に触れるため、県内では捕獲許可証が取得できる研修会を開く自治体があり、捕獲器購入に補助金を出す市もでてきた。なぜ県内でアライグマの捕獲数が増えているか。

市町が研修会開催

昭和に放映されたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」の影響か、レッサーパンダのようなかわいいイメージがあるアライグマ。実は雑食で農作物や小動物までさまざまなものを食用にする。県みどり自然課によると、アメリカ大陸から持ち込まれ野生化したアライグマは、外来生物法と鳥獣保護法によって捕獲に規制があり、許可なくエサなどを使い捕獲することはできない。法律に基づき県内で捕獲されたのは、平成20年度が1756頭、28年度が5244頭。令和に入り急増し4年度は1万515頭、5年度は1万1790頭。

県は被害を防ぐためにアライグマ防除実施計画を策定。令和4年に策定された第4次同計画に基づき、県か各市町村が開催する研修会を受講し従事者登録した人は捕獲ができる。研修会は令和5年度、上尾、加須、川越、飯能、越生、皆野、吉見、寄居の8市町で計16回開催された。

「エサは上の方に」

加須市は今年度、研修会を受講して同市が交付する捕獲等従事者証を所有した人には捕獲器購入費補助金を出している。市環境政策課によると、令和6年4月1日以降に購入した捕獲器で年間1基に5000円までの購入経費を補助する。

アライグマの習性を研修会受講者に説明する「野生生物研究所」代表の古谷益朗さん=埼玉県加須市(昌林龍一撮影)

同市が7月に開いた研修会は57人が受講。講師の野生生物研究所代表、古谷益朗さん(65)が「光や大きな音を出したぐらいでは驚かない」とアライグマの性格を説明。捕獲器内のエサのつけ方を「餌はできるだけアライグマが上を見る位置につける。その姿勢ではバックして逃げるときに下を向いているときよりスピードが遅くなるから」とアドバイスした。

そして「捕獲器のまま川に入れ溺死させたのを見た人が行政機関に通報した話を聞いた。捕まえたら自分で駆除しないで、必ず自治体に連絡し(業者などに)引き取ってもらいましょう」と注意喚起した。

加須市で農業を営む長島朝司さん(73)は「飼っているニワトリの餌の箱を倒され食べられた。市の広報紙をみたら、捕まえるには許可証がいると書いてあったので研修会に来ました」と受講理由を語った。

一戸建てが好き?

県みどり自然課によると、県内の自治体別捕獲数(令和5年度)は、さいたま市861頭、熊谷市が839頭、東松山市700頭、深谷市が672頭、吉見町490頭、川越市484頭、川島町482頭、加須市424頭。

古谷さんは、アライグマは繁殖期に家屋や無人の倉庫内で子育てすることに注目し「捕獲数が多い自治体は高度経済成長に東京のベッドタウンとして建売り住宅が多く建っている地域と思われます。マンションに比べて一戸建てはアライグマが床下などに侵入しやすい」と指摘。令和に入り捕獲数が急増していることについて、「県内で東京への人口流出があり空き家が増えていることが要因ではないか」と推測する。(昌林龍一)

アライグマなどによる果樹への被害が7割以上 和歌山

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