三井住友フィナンシャルグループの中島達社長(60)は26日までに産経新聞の取材に応じ、決済や資産運用などを一つのアプリで完結できる個人向けモバイル総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の登録者数目標の前倒し達成を目指す考えを明らかにした。オリーブを軸に旧来の銀行の枠にとらわれない「脱銀行」路線を推進できるかが注目される。
オリーブは令和5年3月のサービス開始後5年で1200万人の登録を目標とするが、5年12月末時点で登録者数は約170万人に到達。中島氏は、「当初計画よりも良いペース」と手応えを語る。そのうえで、4月に控える三井住友カードが運営する「Vポイント」とTSUTAYA(ツタヤ)などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」との統合が、さらなる普及拡大に向けた大きな転換点になるとの認識を示した。約7000万人が使うTポイントの活用で、これまで接点がなかった利用者のオリーブ登録に注力する構えだ。
そのうえで、オリーブとひもづけできるクレジットカードの種類を増やしたり、マイナンバーカードを利用した新規銀行口座の開設など利便性向上の取り組みを不断に行う方針も示した。
また、遠くない時期に日本銀行が短期金利をマイナス0・1%に固定するマイナス金利政策を解除すれば「預金が重要なプロダクト(商品)となる」と強調。貯蓄目的の預金とともに、個人と法人の双方が使用する決済性預金のあり方が銀行の収益に大きく影響するとの話した。
また、多様化・複雑化する顧客ニーズに対応するためには「個々の社員の専門性を高める」との方針も披露。顧客に最適な対応ができるプロとしての金融人材育成にも大きく力を入れていくとしている。(永田岳彦)
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中島氏との一問一答は次の通り。
--オリーブの現状は
「(昨年3月の開始後からの)登録者数170万人は当初想定した以上のペースだ。5年で1200万人の登録者数の目標を予定より早く達成できたらいいと思っている。次の大きな顧客拡大の波である『Vポイント』と『Tポイント』の統合にまずは対応する」
--日本銀行のマイナス金利政策解除後の事業環境は
「マイナス金利下では全く収益を生み出さなかった預金が、収益を生み出す重要なプロダクト(商品)となる。金利が上がる世界となることは大きな転換点。特に決済性の預金獲得に向けた取り組みをしっかり行っていく」
--国内では新しい店舗の形も模索し続けている
「新型店『ストア』は物理的にも小さく、また働く人数も従来の店舗に比べて少なく、基本的にキャッシュレスだ。何をメインにやるかというと、オリーブの使い方や資産運用といった対面でのお客さまの相談が業務の中心になる」
--環境が大きく変わる中、人材育成の取り組みは
「まずはお客様のニーズに答えるプロとして、専門性を高めることが必要。もう1つは、若い世代を中心に価値観が変化している。働くことが当然楽しく、自分の成長につながる。そうした価値観に応える新しい仕組みづくりが大事だ」
--昨年11月に死去した太田純前社長の路線をどう引き継ぐか
「太田社長時代に策定した中長期ビジョンなども一緒に深く関わってきた。現路線は私自身も作ってやってきた戦略でもある。経営環境の変化に応じて、新しい施策を打つことなどはあるが、現時点ではあまり大きく変える必要はないと考えている」
なかしま・とおる
東大工卒。昭和61年、住友銀行(現三井住友銀行)入行。三井住友銀行取締役兼副頭取執行役員、三井住友フィナンシャルグループ執行役副社長などを経て、令和5年12月から現職。愛知県出身。60歳。




