家族で集まる年末年始、話題になることがある「終活」。気になってはいるものの何から始めればよいのか分からないという人は、まず「エンディングノート」を作成してみては。最近はスマートフォンに「終活」関連の事項を記録して、家族と共有する人も少しずつ増えているという。
「70歳を過ぎた頃から、終活しなきゃと思いながらも、ノートに書き残すのが面倒で何もしていなかった」という愛知県の男性(77)は、携帯電話からスマートフォンへの変更を機に、スマホ上で提供されているエンディングノート作成サービスを使い始めた。加入中の生命保険や通院中の病院名、常備薬…と医療関連の情報を入力し、旅先で撮影したお気に入りの写真も保存した。「この写真は遺影になるのかな」。そんな思いが頭をよぎったという。
「私もいつどうなるか分からないから、必要な情報を離れて暮らす息子と共有できるのは便利。スマホ操作を覚えるきっかけにもなりました」。少しずつ、財産やいざというときの連絡先の整理にも活用していきたいという。
トラブル回避に
男性が使っているのは、リードライフ(名古屋市)の「生前整理アプリ」サービス。墓石クリーニング業にも携わり相続トラブルを数多く見てきた伊藤清文社長(52)が、「故人に関する整理された情報を、確実に遺族に伝達できる仕組みがあれば、トラブルを防げそう」と発案した。
無料版では、自宅の公共料金や通信事業者との契約情報▽健康状態や薬などの医療関連▽住所や連絡先といった個人情報▽宝物やコレクション▽生前の形見▽思い出の写真-など8項目の基本情報を記録できる。家族も普段から閲覧可能で、伝えておきたい情報を元気なうちから共有する想定だ。
さらに月額998円の有料版を追加で利用すれば、項目がより詳細になる。銀行・証券の口座や株式、債務などの財産管理に関する情報のほか、お墓や葬儀への希望、誰に何を譲るといった遺産分割の希望など、家族に伝えづらいことを記録しておける。有料版の情報は利用者の死後、開示する前提。誰にどこまで開示するかは、あらかじめ利用者が設定できる。
利用者の生前から家族らが無料版の情報を閲覧し、「遺志のありか」を把握しているため、手書きの場合にありがちな「家族が見つけられなかった」といった事態を回避しやすい。伊藤さんは「エンディングノートをスマホ上で提供することで、遺族の困りごとの大半は解消できるのでは」と胸を張った。
アナログにも利点
一方、スマホやパソコンの活用が苦手という人は、ノートに記録しておくとよい。
愛媛県内の男性(84)は身内の不幸を機に、文字が大きく項目が少なめのエンディングノートを購入。口座番号や年金番号、葬儀への希望、親戚や友人の連絡先などを時間をかけてまとめた。自分の身に何かあっても家族に見つけてもらえるだろうと保管場所には仏壇の引き出しを選んだ。「これで一安心です」
パスワード忘れや、運営会社のサービス縮小などといったリスクなく利用できるのが手書きノートのいいところだ。
身の回りの情報を整理しておけば、年末年始に帰省した家族とこれからのことを語り合う手がかりにもなりそうだ。
(田中万紀)




