【ソウル=桜井紀雄】韓国の人権団体が23日、ソウルで記者会見し、北朝鮮を脱北して中国で拘束された数百人が近く強制送還され、拷問など過酷な人権侵害に遭う恐れがあると訴えた。約600人が今月9日に送還されたとされるが、残る多数の送還も差し迫っているとして阻止に向けた行動を国際社会に求めた。
会見したのは「北朝鮮人権」の理事長で弁護士の金泰勲(キムテフン)氏ら。拘束された女性が中国の収容施設で看守に賄賂を渡し、ひそかに外部に明かした内容として説明した。女性は今月初め、中国・遼寧省から吉林省の施設に突然、移送され、同施設にいた約350人のうち、約180人が9日に強制送還されたという。
別の団体が最近、約600人に上る9日の一斉送還で、中国で2千人以上拘束されていた脱北者の8月末からの送還が完了したとの見方を示したが、女性の証言ではこの施設だけで約170人が中国側に残っていた計算となる。金氏は、中国側に5カ所ほど同様の収容施設があり、数百人以上が近く強制送還される恐れがあるとみている。
会見では中国で2010年に拘束され、北朝鮮に強制送還された経験のある脱北女性の池明希(チミョンヒ)さん(59)が拷問実態を証言した。池さんは北朝鮮当局者に顔が腫れるまで手や靴で殴られ、韓国との関係を自白するよう強いられた。16年に韓国に脱北した後も重い頭痛の後遺症に悩まされている。
北朝鮮の施設ではトイレにも自由に行けず、他の収容者との会話が見つかれば、口を開けさせられ、たんを吐き入れられる罰を受けた。「脱北者にとって送還は恐怖の代名詞だ」と涙で訴えた。




