原発の最大限活用と脱炭素化などを目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が27日、衆院を通過し、運転期間を現行の原則40年、最長60年から、60年超とする長期利用に大きく近づいた。ただ、運転期間に上限があることには変わりがなく、当面は既存の原発を活用しつつ、安全性が高く、効率的な発電が可能な次世代原発の開発や建て替えの具体化が急務となる。
法案では平成23年の東日本大震災以降、原子力規制委員会の新規制基準への審査対応や裁判所の判断などの要因で原発が運転を停止した期間を除外。最長60年の運転期間に追加するとしている。震災以降の規制委の審査対応で10年近く停止中の原発もあり、こうした原発が規制委の審査に合格後、再稼働すれば、運転期間は最大で10年近く延ばすことが可能だ。
ただ、日本の場合、安全審査をクリアすれば運転期間に上限がない一部の海外の国とは異なる。既存の原発の再稼働加速で、当面の脱炭素化と電力の安定供給は実現できるものの、次世代原発への建て替えが進まなければ、運転期間の上限に到達する原発も出始めかねない。
大手電力関係者によると、既存の原発でも設計から建設には「少なくとも10年程度かかる」とされる。東京電力福島第1原発事故後、現在計画中の原発の新設は極めて困難な状況で、廃炉原発の同一敷地内での次世代原発の建て替えが現実的な中長期の原発活用策だ。
法案が参院での審議を経て成立し、原発の60年超運転が可能となっても、次世代原発の開発や建て替えが進まなければ、原発の最大限活用にはつながらない。当面の対応だけでなく、脱炭素と両立する安定的な〝準国産エネルギー〟としての原発の活用策をより明確に打ち出し、具体化する作業が今後は必要となる。(永田岳彦)




