24日で10カ月が経過したロシアのウクライナ侵略は現在、露軍が東部の要衝奪取を狙って攻勢を強化する一方、ウクライナ軍は南部の要衝奪還を目指す構えを見せている。2つの要衝を巡る攻防は戦争全体の帰趨(きすう)を左右する可能性がある。ミサイル攻撃を繰り返す露軍の拠点をウクライナ軍がドローン(無人機)で攻撃したともされ、空を巡る戦いも激化している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は23日のビデオ演説で、露軍がクリスマスから新年の休暇にかけて攻撃を強める可能性があるとして、「空襲警報に注意してほしい」と国民に呼びかけた。一方、ペスコフ露大統領報道官は同日、「ウクライナの非軍事化はかなり進展した」とこれまでの成果を主張した。
侵攻から10カ月。露軍は現在、東部ドネツク州全域の制圧のため、同州の要衝バフムトの掌握を急ぐ。バフムトは同州の中心都市クラマトルスク方面に進出するために重要で、周辺では過去数カ月、激戦が繰り広げられてきた。
露軍はバフムト方面に招集兵や民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員も投入し、損害を出しつつも攻勢を維持しているとされる。これに対してゼレンスキー氏はウクライナ軍が防衛線を保持していると強調する。
一方、ウクライナは露軍をバフムト方面にくぎ付けにして、別方面で反攻の機会をうかがっているとの分析が出ている。目下の奪還目標は南部ザポロジエ州メリトポリとの観測が強い。ここを奪還すれば、露軍が占拠する南部ヘルソン州のドニエプル川東岸地域や、南部クリミア半島への進出路を確保できる。ウクライナ軍は最近、メリトポリとその周辺の露軍拠点を立て続けに攻撃している。
ロシアは本土とクリミアを結ぶクリミア橋で10月に起きた爆発の「報復」を名目として、ウクライナの電力インフラへの攻撃を引き続き繰り返している。こうした中で露西部のジャギレボ空軍基地と南西部のエンゲリス空軍基地で5日に爆発が発生。ウクライナは関与を認めていないが、露軍のミサイル攻撃能力を低下させるためにドローンで攻撃したとの見方が強い。
ウクライナは米国から地対空ミサイルシステム「パトリオット」を供与されることが決まり、防空能力を向上させつつある。一方、露軍の高精度ミサイルは枯渇しつつあるともいわれ、空を巡る主導権争いも今後の戦局の焦点となる。




