文前政権の安保トップを逮捕 韓国新旧政権の対立激化

2日、ソウル中央地裁に出頭した徐薫・前国家安保室長(聯合=共同)

【ソウル=桜井紀雄】韓国検察は3日、2020年に黄海を漂流中の男性が北朝鮮軍に射殺された事件で、南北融和を重視する当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権の意向にそぐわない情報を握り潰したとして、職権乱用などの疑いで、大統領府の安全保障政策の責任者だった徐薫(ソ・フン)前国家安保室長(67)を逮捕した。文政権当時の大統領府高官の逮捕は初めて。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は今年5月の政権発足直後から、文政権が北朝鮮との関係悪化を避けようと、男性が北朝鮮への亡命を試みたとの判断を強引に下したとみて事件の見直しに着手した。文前大統領が最優先した対北融和路線を否定するもので、文氏や最大野党は強く反発。今回の逮捕で新旧政権の対立は一層激化しそうだ。

徐容疑者は20年9月の事件直後の会議で、関係機関に男性が亡命を試みたとの政府判断と食い違う機密情報の削除を指示したり、虚偽の報告書を書かせたりした疑いが持たれている。

徐容疑者は容疑を否認。裁判所は2日からの長時間にわたる尋問審査を経て「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発付した。

逮捕に先立つ1日、文氏は「安保事案を政争の対象とし、国家安保に献身してきた公職者の自負心を踏みにじっている」と捜査を批判する立場を表明した。文氏は当時の報告を自身が「最終承認した」と説明。当時と判断の根拠となる情報や状況に変わりはないのに、政権交代で判断が覆されたと主張した。

検察は情報機関、国家情報院の前トップへの捜査も進めており、文氏へ捜査が及ぶかが焦点になっている。監査院が書面調査を求めたのに対し、文氏は「非常に無礼だ」と拒否した。この事件では当時の国防相や海洋警察庁長官も逮捕され、その後に釈放された。

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