少子高齢化や車利用の増加などを背景に、全国の地方鉄道が慢性的な赤字経営に悩まされている。滋賀県彦根市に本社を置く「近江鉄道」もその一つで、沿線地域の人口減少などに伴って鉄道事業は平成6年度以降、28年連続で赤字だ。そんな中、同社は沿線自治体などと協力し、工夫を凝らしたイベントを積極的に展開するなど、利用客の掘り起こしに向けたさまざまな取り組みを続けている。
無料デーに長蛇の列
同社が10月16日に行った全線の運賃が無料となる「電車無料デー」。予想の約1万人を大幅に上回る約3万8千人の利用があった。昨年度の1日当たりの輸送人員は約3100人(定期外利用者数)だったというから12倍にも上った。彦根駅(彦根市)や八日市駅(東近江市)では一時入場を制限するなど、各駅で電車を待つ長い行列ができた。
無料デーにあわせ、沿線の八日市駅周辺では出店が並び、甲賀市の貴生川駅近くでは田んぼアートの稲刈り体験や夜には花火が上がるなど、14のイベントが行われた。利用客からは「新型コロナ禍でなかなか電車に乗れなかったが、初めて子供を乗せることができ、喜んでる姿が見れてよかった」「乗客の多さにびっくりした」との声が上がった。
同社の担当者は「想定を大きく上回る利用があり、鉄道の潜在需要があることが分かった」と分析。ニーズを分析し、利用促進につなげていきたい考えだ。




