群馬県の山本一太知事は本紙の単独インタビューに応じ、新年から企業誘致を含むトップセールスの加速化に取り組むと表明した。「新しい富」の創出により公約でもある県民幸福度の底上げを図る。任期を通じ庁内の意識改革が大きく進展したと強調。令和5年夏の再選出馬は可能性を探るとしつつも前向きな意欲をにじませる発言もあった。主な一問一答は次の通り。
「マインドセット」変化
--今年を振り返って
「4例も発生したCSF(豚熱)やコロナ対策など危機管理に忙殺された1年だった。ただ、この1年で県庁職員のマインドセット(考え方)を変えることができた。意識改革が進んだことが最大の実績だ」
--意識改革とは
「職員は優秀だが、なかなか一歩を踏み出せない感覚があった。職員のプレゼンに自ら出て真剣に議論し、毎週の庁議も30分ぐらい演説する。あらゆるチャンネルを通じ働きかけてきたことで、『思い切って挑戦する』というマインドセットの変化が出てきた。元々のポテンシャル(潜在力)が起爆した」
--具体的な変化は
「新型コロナウイルスワクチンは、(2カ所の県営大規模接種会場などを通じ)接種対象者への2回接種率の8割達成が全国最速に近いペース、20~40代の接種率の高さは全国1位がしばらく続いた。接種証明『ワクチン手帳』の開発も一番早かった。つまり全国に先駆ける、群馬発の新しいモデルをどんどん作っていく、そんな雰囲気が庁内に出てきた」
--見えてきた課題は
「リソース(資源)をすべてコロナなど危機管理に充てたため、今後何をすべきかを示した工程表『全力疾走366プラン』は変更をかなり余儀なくされた。コロナは落ち着ついており、新年から早速再開したいのは知事のトップセールスだ」
--狙いは
「県の将来の利益に結びつく、これから新しい富を生み出すようなプロジェクトを一緒にできるよう、人脈を作り、連携を発掘していきたい。既に企業トップ、メディア関係者、エンターテインメント産業トップとの面会日程を入れ始めており、新年から具体的な提案を持っていく。ロケ誘致、企業誘致も含めたさまざまなコラボを進めたい」
--コロナ禍は収束が見通せない
「コロナは無くならない。長期戦、持久戦になる。ワクチン接種が進んでも(クラスター=感染者集団=頻発など)感染は出ている。だから、3回目接種を早くと厚生労働省に要望した。早めに対応してもらえるよう、県だけでなく全国的なことも考えてお願いした。ただ、今後もコロナとの戦いは続き、完全にはもとに戻らない。ニューノーマル(新常態)に移行する」
ランキング分析続ける
--都道府県魅力度ランキング「44位」に対しては「法的措置も検討」と発言した
「法的措置は一つの方策としてあるということだ。統計的に不正確で、根拠の乏しいものだと知ってほしいと、ああいう発信になった。県民の中には行政発のランキングと勘違いしている人もいる。メディアに取り上げられ、意味があったと思う。結果として県が注目され、炎上商法だという人もいるが、そんなことは考えていない。激怒しておらず、冷静に見ている」
「地方には地域にプライドと愛着を持っている人たちがいる。根拠の乏しいランキングで『あなたのところはビリだ、低い』といわれたら不愉快だ。独自の世論調査では、知事の対応を『よく言ってくれた』が5割超、『大人げない』は2~3割だった。今後もランキングの分析は粛々と続けていく」
--県内は人口減が進む中で外国人人口が増えている
「外国人県民の力がなければ県の経済、地方経済は成り立たず、地域振興のためにはお互い協力していくしか方策がない。強調したいのは、法律と地域のルールを尊重していただく中で多文化共生を図っていくことが大事だ」
--日本人と外国人を区別せずに投票権を認める東京都武蔵野市の住民投票条例案は否決されたが、見解は
「物事を変えていくときは、さまざまな考え方や社会全体のムードとかを踏まえ、相当慎重に考えるべきだ。県で今、そういうこと(同様の条例案)は考えていない」
再選「やるからには勝つ」
--任期の折り返し点を過ぎた。再選への意欲は
「70の後援会を行脚し、団体や有権者らの声を聞いて回る。その結果、次期知事選の1年前となる8月、『続けてほしい』という期待の声があり、なおかつあと4年続ければ県のために良いことができると思えば、そこで出るかを決める」
--1年前?
「1年前でないと周囲に迷惑がかかるから。県幹部や職員、一生懸命やってくれている人たちに曖昧なことは言っていられない。(決めれば)後援会会議で宣言し、その後おそらく県議会で正式表明する」
--不出馬の選択肢もあるか
「(政界は)一寸先は闇だ。何が起こるか分からない。自分が知事でいることが県民のためになると確信が持てないなら、その時はスッパリ辞める」
--国政復帰の可能性はないと
「全く考えていない。参院議員として国政は24年間やり切った。一つのフェーズが終わった」
--勝算をどうみているか
「これだけ(県政の)物事をいろいろ変えているから、対抗馬は出てくるだろう。出馬するなら1年かけて選対を作り、やるからには勝たなきゃいけない。独自の世論調査では知事支持率は7割。高いと見るか低いと見るかだが、コロナ対策で県民に相当無理を強いてきたことを考えると意外に高い。7月にもう1度世論調査して判断する。選挙は過去1度も油断したことはないし、現職だから(有利)という甘い考えはない」




