北朝鮮は9月中旬から、長距離巡航ミサイル、列車から発射し変則軌道をとる「KN23」改良型、極超音速ミサイル「火星8」、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と多種にわたるミサイル発射を行った。専門家は北朝鮮の核・ミサイル開発の局面が変わったと指摘する。連続発射のさなかに開いた最高人民会議で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記はバイデン米政権について、「対話の呼びかけは敵対行為を覆い隠すベールで、敵視政策の延長にすぎない」と敵対的な姿勢を強めた。金体制の核戦略はいま、何を目指しているのか。
新たな局面に入った北の核戦略
北朝鮮のような核戦力に過度に頼る弱小国が米国のような圧倒的な核超大国に対抗する場合、当事国(北朝鮮)は核の先制不使用を宣言し、超大国から核攻撃を受けた場合は第2撃として「核で反撃する」と脅すのが通例だ。第2撃は米ワシントンなど大都市の破壊を狙う。都市機能や産業基盤を破壊し甚大な人的被害を目指す対価値(カウンターバリュー)戦略といい、超大国の第1撃をためらわせることが目的で、兵器としての命中精度は必ずしも高くなくていい。北朝鮮の場合、カウンターバリュー戦力は燃料の量で射程の調整が可能だが、発射の兆候が発覚しやすい液体燃料の弾道ミサイルが担ってきた。