野口裕之の軍事情勢

今、朝鮮半島では戦争小説でも表現できぬ恐ろしい事態が起きようとしている 邦人脱出計画の立案は間に合うか

邦人救出を阻む「反日の壁」

 折しも、釜山・日本総領事館前の慰安婦像設置問題で帰国中だった長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事が帰任した。日本政府は、5月に予定される韓国大統領選の「情報収集」が主目的だと強調するが、小欄は優先順位は大統領選ではないと思っている。朝鮮半島有事に備えた邦人保護計画の具体的立案が急務だと、遅ればせながら焦り始めたに相違あるまい。何しろ、外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、2015年10月1日現在で韓国に滞在する邦人は3万8060人もいる。

 在外米国人の救出・収容の圧倒的なノウハウを蓄積する米国ですら、在韓民間米国人の脱出訓練を毎年実施。昨年11月には、7年ぶりに在日米軍基地まで、実際に避難・誘導する訓練を復活させた。今年1月には、在韓米軍の家族が、核シェルターが完備されていると観測される沖縄県内の米軍基地への避難訓練を経験。対化学・生物兵器用防護服の装着も実習した。

 果たして、在韓邦人の救出準備は「来るべき日」に間に合うのか。政府全体の危機意識は十分とは言い難いが、自衛隊は真剣に向き合っている。

 例えば、米軍とタイ軍主催の多国間軍事演習コブラゴールドに参加した自衛隊は2月、在外邦人保護の訓練をタイ海軍の航空基地などで行った。

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