確かに、朝鮮人民軍の部隊行動は見えにくい。地下に掘られた坑道陣地をうまく活用しているためだ。従って、前述した特殊作戦部隊は朝鮮人民軍の高級佐官〜将官級+朝鮮労働党大物幹部の誘拐や、軍のコンピューター&ソフト強奪を謀り、朝鮮人民軍の配置や兵力、金正恩氏や指導部幹部の地下居所の所在などを突き止める重要任務も帯びる。情報確度が高ければ、特殊作戦部隊は韓国に戻らず暗殺や爆撃標的誘導などを決行する。
坑道陣地は「弱さの裏返し」でもある。朝鮮人民軍、特に空海軍は老朽化が激しく、戦闘機の8割近くが1960年前後に製造・運用が始まった年代モノ。通常兵器では米韓にかなわぬ北朝鮮が、核・ミサイル開発にひた走る理由がここにある。
米韓軍は圧倒的航空・海上優勢を背景に、緒戦で徹底的な空爆・艦対地攻撃を仕掛ける。そこで、朝鮮人民軍の陸軍は司令部や弾薬などを集積する兵站拠点を坑道内に置く。火砲や地対艦ミサイルも坑道内を移動して、射撃時に「顔」を出す。
空軍の軍用滑走路は低山の斜面をえぐって造られ、軍用機は通常、滑走路横の低山内の坑道に格納される。海軍基地も、沿岸部をくりぬいた坑道内に小型艦艇/小型潜水艦・潜水艇/半潜水艇を収容する。この種の海軍艦艇は、戦端が開かれる前や直後に工作員や特殊作戦部隊員を乗せ韓国近海に侵入、上陸して要人テロや軍・政治・経済中枢破壊を実行するプラットフォームになる。



