茨城・土浦でねぶた技法の和紙灯籠を公開制作

ねぶたの技法で和紙灯籠を制作する星崎雪之さん=土浦市中央のクリエイティブルームがばん

 ねぶたの技法を生かして和紙灯籠を制作する星崎雪之さん=茨城県つくば市=が、茨城県土浦市の工房でハスをテーマにした新作の公開制作に励んでいる。10月17日に同市中央の「千手院(せんじゅいん)」で完成を披露し、夕刻に明かりをともす予定だ。

 千手院近くにある前面ガラス張りの工房「クリエイティブルームがばん」。太陽が沈み始めると、オレンジ色の温かな光が歩道にまであふれる。「床に針金がいっぱい落ちているから足元に気を付けて」と気を配り、ねぶたの基本である針金でハスの花の骨組み作業を進める星崎さん。「ハスの葉は想像以上に大きく、つぼみは曲線が美しいので、立体的にどう見せるかを考えるのが楽しい」。霞ケ浦湖畔や市内のハス田で観察を繰り返す。

 発光ダイオード(LED)電球の電気配線と和紙貼りは同時進行だ。和紙は常陸大宮市産で県の無形文化財に指定されている「西ノ内和紙」などを使用し、電球と和紙の相性、光源からの距離による作品の見え方を研究しながら作り上げていく。制作過程で最も重要な部分となる。

 制作現場を公開するのは、地域住民との交流から作品のヒントが生まれるからだ。工房はJR土浦駅前から約1キロに位置するため、通勤通学者や住民などで人通りが多い。制作中に「土浦人はみんなハスが好きだよ」「葉はもう少し丸みを帯びるといいのでは」と声がかかる。全ての声が作品の表現につながるという。「制作過程を見守っていただければ」と話す。

 筑波大芸術専門学群出身。アートディレクターとして空間デザインやイルミネーション企画・施工に従事する。灯籠制作を学び始めたのは東日本大震災直後だ。仕事の激減により、多くの人の目に留まる美術を学びたいと、青森県のねぶたの制作現場に飛び込んだ。

 初めて手がけた作品は平成25年、つくば市の筑波山をイメージして筑波山神社に展示した。その後、地域や行政などから声がかかり、土浦市の古民家やつくば市の病院でワークショップなど実績を積み上げてきた。

 今回は「観音さまの花あかり」と題した。千手院には千手観音菩薩立像が祭られ、地元住民の協力で維持されているという。10月17日は縁日と呼ばれ、ご開帳がある。「コロナ禍でお祭りが中止となり、暗い気持ちになっている人が多いと思う。少しでも和紙灯籠の明かりで気持ちが穏やかになれば」と話している。

 工房での公開制作は10月15日まで。17日の展示とご開帳は午前9時~午後2時(点灯は同4~6時)。インスタグラム(@hoshizaki_light)でも制作過程を公開している。(谷島英里子)

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