<朝晴れエッセー>草刈りの人

町外れで川は真西に向かって真っすぐになる。川の両岸には小道、奥には畑、その奥には人家が散在している。私の散歩道。

長い秋雨が終わった朝。作業車が2台止まっていた。除草作業らしい。いつもの折り返しで柵越しに川面の鳥を見ていると、土手の斜面で踏ん張っている作業員が手を止めてこちらを見ている。こちらが鳥を見ている間、作業員もこちらを見ている。

「そうか、私が通り過ぎるのを待っているのだ」。遅ればせながら気づいて、わびの会釈をして帰路についた。

翌日も散歩に出た。土手はきれいに刈り取られていた。が、ポツンポツンと刈り残しがある。斜面には赤い花が立っていた。彼岸花だ。あの草刈りの人が哀れんで刈り残したんだ。

ふと、双子の三女四女、独身のアラフォーが頭に浮かぶ。こんな心優しいお相手を選んでくれればいいなと思った。

双子が生まれた頃に、この川は真っすぐに改修された。もうすぐ冬。川の先に今年も真っ白な富士が望めるだろう。

森山雄治(79) 東京都八王子市

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