旅客機がテロリストに乗っ取られ、乗客を乗せたまま米ニューヨークの超高層ビルに突入していった。
旅客機がぶつかるさまや、多くの人が取り残された2棟の超高層ビルが崩れ去る光景を映像でみた世界中の人々に、大きな衝撃が走った。
日本人24人を含む約3千人が犠牲になった2001年9月11日の米中枢同時テロから、25年となった。
テロを実行したのは、イスラム系の国際テロ組織アルカーイダである。乗っ取られた別の旅客機はワシントン郊外の国防総省に激突した。乗っ取られ、東部ペンシルベニア州に墜落した旅客機もあった。
米国はアルカーイダをかくまったアフガニスタンのタリバン政権を攻撃するなど、「テロとの戦い」に突入した。反米色の強いテロ勢力を放置すれば、さらなる大規模テロが予想された以上、当然の対応だった。
だが、アフガンでは「史上最長の戦争」を余儀なくされた。米国がテロ勢力との戦いに忙殺されている間に、専制国家の中国が力をたくわえるようになった。対中抑止の努力を怠ったことが今、台湾有事の恐れなど世界の波乱要因を生んだ。
アルカーイダやイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国(IS)」の勢力は往時の勢いを失った。だが、それでも中東発のテロが起きるかもしれない時代である。イランが後押しする複数のテロ勢力が残っているからだ。
米国とイスラエルは、核武装を阻止しようとイランを軍事攻撃した。イランは核開発の停止に応じていない。対立の余波で、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の自由な通航が妨げられている。イスラエルは大規模な奇襲攻撃をしかけてきた、ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマスに激しく反撃した。ガザの街はがれきの山と化し、巻き添え被害で多くのガザ住民が死亡した。
イランはハマスのほか、レバノンに拠点を置く親イラン民兵組織ヒズボラ、イエメンの親イラン民兵組織フーシ派などを支援してきた。資金や武器弾薬を供給し、テロや戦闘の術(すべ)を伝授してきたとされる。米国やイスラエルにとどまらず、日本を含む各国は、中東発のテロの暴発を警戒せねばならない。




