子供を連れてのお出かけでは予定通りにはいかないことも多いし、親子でのんびり過ごしたいときも。多くの店舗や飲食店、エンターテインメント施設が集積するサンシャインシティ(東京都豊島区)には、子供が憩える「絵本のひろば」がある。定期的に入れ替わる絵本を楽しめ、読み聞かせも行われている。館内の一等地ながらもふらりと立ち寄れるスポットだ。木のぬくもりに抱かれたほっとする空間で、絵本を通じただんらんの時間を。
定期的に入れ替え
館内の象徴的な噴水を見下ろすアルパ1階の噴水吹抜前広場にある葉の生い茂る大きな木の下が「絵本のひろば」だ。小学生以下の子供を対象とし、本棚には30冊ほどの絵本が置かれている。日本の古典から海外の童話、季節の絵本や話題の作品などがずらり。図鑑や人気キャラクターとのコラボレーションが行われたこともあり、現在はウルトラマンに関連する書籍が並ぶ。約3カ月ごとに絵本は入れ替わるため、訪れるたびに新しい本に触れられる。
丸太を模した小さなベンチに腰掛け、子供たちは気に入った絵本に浸れる。ひろばを囲むように一般の休憩スペースがあるため子供の自主性に任せ、読書をする姿を見守ることもできるが、隣に座って読み聞かせを楽しんでもいい。
大きなスクリーンではテレビ絵本が毎日放映される。また不定期に同区の図書館司書による絵本の読み聞かせも行われている。
長期予定ではなく
「絵本を通して豊かな時間を過ごしてもらえる仕組みや企画を提供したい」と話すのはサンシャインシティコミュニケーション部の絵本の森企画担当、野崎ひとみさん。令和3年11月に、「絵本の森」の企画の一つとして始まったひろば。「(当時は)新型コロナウイルス禍で外出に困っているという声も受け、お子さま連れでも安心してお越しいただけるような場所を作りたい」と企画が進んでいったという。当初は長期間実施する予定ではなかったが、子供たちが安心してゆっくり過ごせる場所を提供したいとして今も継続している。
ひろばができる以前は、サンシャインシティが子供向けの店舗や施設は充実しているのに、子供が滞在しやすい共用スペースは乏しかった。ひろばがある場所は多くの人が行き交う中心的な場所であり、シーズンイベントなども展開していた館内有数の一等地だ。その場所に常設したことは、「家族連れを大切にしたいという私たちの気持ちが表れている」とし、より安心して子供を連れて来ることができる施設を作るという思いを強めたと野崎さんは話す。
アナログならでは
絵本の力は「年齢や国籍を問わずいろんな方に触っていただきやすいところ、学び(知識)や情緒などの文脈を広げやすい」ことと訴える。子供の学びの場や親子の触れ合いの場になることはもちろん、子供同士の交流など、多様なコミュニケーションのきっかけがひろばで生まれていると実感する。
季節や学び、知的好奇心の刺激を意識して絵本をそろえるが、一方で「絵本は年齢や人で区切れるものではないので、その子が関心あるものを選んでとっていただければ」と望む。選択も含めて「その人らしさが出るものとしても、絵本はすごく有用」だという。
子育ての中でデジタルツールが多く活用されるが、「リアルの場を大事にする商業施設として、アナログな時間を過ごしていただくことは絵本ならでは」と野崎さん。家族の過ごし方が多様化する中で、「家族だんらんの豊かな時間を過ごしてもらいたい。ちょっと肩の力を抜いていただけるような空間、日々来られるような場所でありたい」。
図書館や家での絵本時間とはまた違う。家族でのお出かけという日々の何気ない思い出の中に、絵本を通じたほっと一息つく時間が取れる場所となっている。(鈴木美帆)






