「『これこそがオランダ』というものを作るのが好きな国民だと思う」。J2磐田の藤田俊哉取締役は選手とコーチとして過ごした同国をそう分析する。
九州とほぼ同じ広さの国土は干拓を重ねて築かれた。英仏独といった大国に囲まれながらもハイネケン(ビール)やフィリップス(電機)といった世界的企業が存在感を放つ。だが、この国を世界的に特別なものにさせているのが「オランイェ(オレンジの意でサッカーオランダ代表の愛称)」だ。
原点は1974年のワールドカップ(W杯)西ドイツ大会。「空飛ぶオランダ人」クライフを擁したオランイェは、全員攻撃・全員守備で試合を支配する「トータルフットボール」で旋風を起こした。
元日本代表MFの藤田氏は「プレーしていても指導していてもそうだったけど、とにかくボールを握り、内容で相手を上回るという価値観が脈々と底流にある。仮に散ることになっても、それがオランダという感じでね」と話す。
現オランダ代表の基本布陣は「1-4-3-3」。他国では省かれることが多いGKの「1」を強調するのがオランダ流だ。選手は位置を示す番号で役割を理解し、カバリングなどの連動性を高める。「自分たちはこうあるべきという自負が強いからこその文化」と藤田氏は指摘する。
オランイェの試合は欠かさず見るという藤田氏だが、変化も感じるという。伝統的に小柄でスピードのある選手を配置することが多かったサイドに、高身長の選手を配している点だ。オランダは成年男性の平均身長が約184センチと世界最高。現代表も右にドゥムフリス(インテル・ミラノ)左にハクポ(リバプール)ら高さのある選手を擁しており、クロスやセットプレーでは脅威となる。
藤田氏は「(オランダ人は)上田(フェイエノールト)が1部の得点王になったし、日本も強くなってきたと認めつつあると思う」としながらも、「本音でどう評価しているかはW杯が始まってようやく分かる。意識しすぎずに日本は日本の準備をして臨んでほしい」と、後輩たちへエールを送った。(五十嵐一)
◇
11日に開幕するW杯北中米3カ国大会。日本が1次リーグで対戦する3カ国のサッカーについて、ゆかりのある選手らに聞いた。









