来年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪開幕まで6日であと半年。各選手は氷や雪のない真夏にもトレーニングを積み、冬の大舞台へと備えている。ノルディックスキー・ジャンプ女子でワールドカップ63勝の高梨沙羅(クラレ)は、4度目の五輪へ狙いを定める。
2度目のメダル獲得へ
悲劇のヒロインのままではいられない。ジャンプ女子の第一人者、高梨は4度目の大舞台で雪辱を誓う。「ジャンプをやってきてよかったと思える競技人生でありたい。そういう結果で終わらせたい」。29歳で迎える五輪では自身2度目のメダル獲得を目指す。
2022年北京冬季五輪の混合団体で〝悲劇〟は起こった。高梨は1回目の飛躍後、スーツの規定違反で失格に。日本は4位でメダルに届かなかった。「本当にやってはいけないことをしてしまった」。涙に暮れた。インスタグラムには真っ黒の画像とともに、謝罪の言葉をつづった。
失意の中で高梨を支えたのは「いつも元気をもらっています」「沙羅ちゃんが頑張ってるから、私も頑張ってみます」といったファンの声だった。前を向いた。「私が辞めても償えるものではないから…」
鍵握る「テレマーク」
五輪で再びメダルを取るための鍵は、前後に足を開く着地姿勢「テレマーク」が握る。昨季からルール変更で審判員1人当たり最大2点までの減点が最大3点となり、勝負を左右する大きな要因となった。
小学2年生からジャンプを始めた高梨はテレマークを本格的に教わったことがなかった。周囲に積極的にアドバイスを求めた。同学年の小林陵侑(チームROY)から「板をしならせながら入れている」と聞き、柔らかい板を試すと、徐々に決まるようになった。
W杯で表彰台なし
昨季は初めて、ワールドカップの表彰台に一度も上れなかった。高梨は「(テレマークを)入れたつもりでも、取られていないこともかなりあった」と振り返る。152センチと身長の低い高梨は、座るように着地してしまうと、足を前後にずらしていたとしても飛型点が伸びないのだという。
取り組んでいるのは、見栄えがよくなるよう、着地時に腰を高く保つこと。階段を下りるときも最後の一段はテレマーク姿勢で降りる。「(飛型点は)印象点でもある。シーズン初めから(テレマークを)付けられるようになったなと見せていけるか」と見据える。
女子種目が五輪で初採用された14年ソチ大会以降、競技レベルは向上。表彰台への道は以前に増して険しい。それでも「表彰台に上らないと、恩返しができたことにはならない」。その覚悟に、一点の曇りもない。(石原颯)












