政府の中央防災会議は1日、南海トラフ地震対策について協議する有識者会議が3月に示した新たな被害想定に基づき、南海トラフ地震防災対策推進基本計画を改定した。今後10年間に、現在の想定死者数約29万8千人から約8割、建築物の全壊棟数約235万棟から約5割にそれぞれ減らす目標を決めた。達成のための施策指標を従来の4倍となる205個に拡充し、今後は毎年進捗を把握して計画の実行を加速する。
想定見直しで震度分布や津波浸水範囲が拡大したため、地震防災対策推進地域に神奈川県綾瀬市や長崎市、熊本市など計16市町村を追加指定し、計30都府県723市町村となる。津波避難対策特別強化地域は14都県139市町村で変わらない。
政府は平成26年の計画策定時も死者約8割、全壊棟数約5割とする削減目標を掲げていたが、3月の新たな想定では死者、建物ともに1~2割程度の削減幅にとどまった。そこで「高い目標を目指し、あらゆる施策を動員する」(政府関係者)ため、改定後も同じ目標を掲げた。
重点的にモニタリング
一方、事前対策と避難行動で地震や津波から「命を守る」、避難生活での関連死を防ぐ「命をつなぐ」の2つを特に重要な施策と位置付けて指標を設定し、重点的にモニタリングを行う。
例えば、最大級の津波に対応した避難訓練を実施した市区町村の割合100%(令和12年まで)▽耐震性が不十分な住宅をおおむね解消(同17年)▽津波避難対策を要する地域で避難タワーなどを整備した市区町村の割合45%(同12年)▽国際指標「スフィア基準」を満たす避難所に必要なトイレなどを備蓄した市区町村100%(同12年)-などを設定した。
国の計画改定を受け、推進地域の地方自治体や指定事業者は個別の計画を改定する。国の支援で各主体がそれぞれの被災状況をシミュレーションし、被害量を分析することで各地域での重点政策推進を図る。
石破茂首相は1日の会議で「1人でも多くの命を救うには国、自治体、企業、NPOなどさまざまな主体が総力を結集し、対策を進めることが重要だ」と計画の推進を関係閣僚に指示した。





