令和6年に国内で生まれた日本人の子供の数は68万6061人で、初めて70万人を割った。厚生労働省の人口動態統計(概数)で明らかになった。
1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1・15で過去最低だった。
少子化は加速している。出生数が100万人を下回ったのは平成28年だ。令和元年に90万人、4年に80万人を切った。そのわずか2年後の70万人割れである。極めて深刻な事態だ。
政府が5年に策定した「こども未来戦略」は、若者が急減する2030年代に入るまでが「少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」としている。だが、未婚化や晩婚化に加え、出産期の女性が減少傾向にあるため、30年代までの反転は難しい情勢だ。
児童手当や、育児休業を取得した際の給付金の拡充などを進めることは必要だが、子育て支援だけでは不十分だ。
非正規などで賃金が低く、雇用が安定しないために、結婚や出産、子育てをためらう人は少なくない。結婚して子供を産み育てる人を増やすために、若者の雇用の安定と、賃金の引き上げを図ることは欠かせない。
一方、少子化の抑制には時間がかかる。重要なのは、人口減でも移民国家にならずに、社会を回していくことだ。日本の総人口は約1億2400万人で、令和38年に1億人を割ると推計される。
高齢者は増え、25年にピークを迎える。現役世代は減少し、人手不足に拍車がかかる。地方の過疎化は進む。社会保障制度の維持にも暗い影を落とす。
政府がまとめた地方創生の基本構想案は「人口規模が縮小しても社会を機能させる適応策を講じる」としている。問題意識は正しいが、地方移住の促進や政府関係機関の地方移転など政策の焼き直しが目立つ。
柱の一つに、仕事や趣味などで居住地以外で継続的に関わる自治体を登録する「ふるさと住民登録制度」の創設がある。居住地以外の地域と関わる「関係人口」を増やす狙いがあるが、これでどの程度、地域の発展に貢献するというのか。
住まいや公共施設を集約させる集住は必要だ。都道府県の再編も避けられまい。石破茂政権は人口目標と地域を根本から変える将来像を示すべきだ。




