厚生労働省が27日公表した令和6年の人口動態統計速報で、外国人を含む国内の出生数は過去最少の72万988人だった。6月ごろに公表される6年の日本人のみの出生数は70万人を初めて割り込み、合計特殊出生率も過去最低だった5年の1・20を下回る可能性が高い。政府は「2030年代に入るまでがラストチャンス」と位置付けるが、少子化の加速には歯止めがかかっていない。
日本人のみの出生数は平成元年から12年までは120万人程度で推移していたが、28年に100万人、令和元年に90万人、4年に80万人をそれぞれ割り込むなど、少子化は加速の一途をたどっている。国立社会保障・人口問題研究所は5年発表の将来推計(中位推計)で、出生数が70万人を割るのは20年と予想していたが、それを大きく上回るペースだ。
27日公表した人口動態統計速報の都道府県別では、全47都道府県で出生数(外国人を含む)が減少。上位は東京や大阪など大都市に集中しているのに対し、下位は地方が占め、石破茂首相のおひざ元の鳥取県はワースト2位だった。石破政権は看板政策に地方創生を掲げて「若者や女性に選ばれる地方」の実現を目指すが、具体策は乏しい。
人口減少問題に詳しい日本総合研究所調査部の藤波匠上席主任研究員は「大都市に多くの女性が流出し、男女比のバランスが崩れている地域もあり、女性が地方に定着する政策が急務だ」と話す。
ただ、明るい兆しもある。人口動態統計速報では婚姻件数が49万9999組で、前年速報値比で約1万組回復した。新型コロナウイルス禍に伴う結婚控えの反動などが原因だ。日本では結婚後に出産するケースが多く、出生数の回復には婚姻数の増加が欠かせない。今後も婚姻数の回復を継続させ、出生数の増加につなげる対策が求められる。
そのためには実質賃金の低下に伴う経済面での不安を取り除くことが重要だ。岸田文雄前政権時代には「次元の異なる少子化対策」の一環で、5年12月に総額3・6兆円規模のこども未来戦略を策定した。経済的なゆとりや雇用環境の改善、国の支援制度の拡充がそろってはじめて、若者が子供を産み育てる判断ができるようになる。
藤波氏は、少子化のため「2030(令和12)年以降は20~30代の結婚適齢期の若い世代の人口が再び減り始める。今はこの世代の人口は安定しているため、今のうちに出生数の低下を食い止めることが必要だ」と話した。(飛松馨、大島悠亮)




