<話題の本>日韓に論争 朝鮮に倭(日本)の拠点はあったか 『加耶/任那』仁藤敦史著

倭の活動が刻まれた「広開土王碑」が納まる建屋。『加耶/任那』ではこの碑文も取り上げている=中国・吉林省集安

本書のサブタイトル「古代朝鮮に倭の拠点はあったか」が刺激的だ。というのも、日韓間の政治問題となってきたテーマだから。2001(平成13)年には、韓国政府が日本の中学歴史教科書8種類計35項目について修正を要求。うち一つは、古代朝鮮における「支配機構としての任那日本府説」が「侵略を合理化する」というものだった。任那日本府があったと言えば韓国側から批判され、なかったと言えば「韓国におもねった」などと反発を招く恐れがある。

『加耶/任那』仁藤敦史著(中公新書・990円)

書名中の「加耶(かや)」は、3~6世紀に存在した朝鮮半島南部の小国群を示す。だが、日本では『日本書紀』に記載のある「任那(みまな)」が知られる。古代史が専門の著者は「どのような表記を採用するかで、研究者の立場性が示されてしまう現状を考慮」して両論併記的な書名にしたという。本書では日中韓の史料を検証。考古学の研究成果も取り上げた。

10月刊行。同月29日に出版取次大手、トーハンが発表した週間ベストセラーで新書のトップとなった。現在は2刷2万2000部。好調な理由について、版元では「この問題は論争があるがゆえに、多くの人が関心を持っているが、実証史家は避けてきた。それを著者が説得力をもって書いたから」とみている。(寺田理恵)

『加耶/任那』仁藤敦史著(中公新書・990円)

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