セクハラによるトップの辞任・解任が相次いだ石油元売り大手、ENEOS(エネオス)ホールディングス(HD)は2月28日、宮田知秀副社長が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。これを受け新聞各紙は、新体制のもとで企業風土の刷新に取り組む同社の決意などを報じたが、問題の核心に迫るような報道に接した記憶がない。
同グループの売上高(予想)は令和6年3月期で13兆4千億円と日本有数の大きさだ。石油元売りのほか、非鉄金属、資源開発の各分野で、この10年の経営判断が次々と成果を出して業績は好調だ。その一方でガバナンス(企業統治)問題が相次ぐ。4年8月に杉森務会長(当時)が「一身上の都合」で辞任。ほどなくして週刊誌が、酒席での女性へのセクハラ行為などを暴露し、同社の追加発表を受け、新聞は「ENEOS前会長、女性へ『不適切な言動』 辞任理由を公表」(日経、同年9月22日)などと報道した。さらに斉藤猛前社長は5年12月、酒席で酔って女性に抱きつき、それが内部通報で発覚し解任。ここでも「ENEOSHD社長解任 斉藤氏、2代連続で不適切行為」(同20日)と、同社発表に沿って淡々と報じられた。
「店で性被害『NO』可視化 クラブなど、加害の著名人ら失職も」(朝日、4年10月4日)と、女性の権利問題に引き寄せた記事は散見される。その視点は大切だが、企業ニュースとしての検証報道に食い足りなさを覚える。辞めた2人は有能な経営者だったとされるが、「仕事さえできればいいという古い価値観が会社に残っている」(同社中堅)と問題の背景を示唆する声も聞かれる。企業風土に踏み込んだ視点は多くの読者の興味を引くはずだ。
