記憶に残る献身的プレー 大谷翔平選手と結婚の田中真美子さん バスケ女子ユニバ代表、チーム支える

「4カ国対抗」の米国戦でフリースローを放つ田中真美子さん。奥は現日本代表主将の林咲希=2017年8月、東京都大田区 (奥村信哉撮影)

3月15日、ドジャースの大谷翔平選手や球団がSNSに投稿した写真を見て、「ああ、噂は本当だったんだな」としみじみと感じた。大谷選手の妻と紹介された女性は、バスケットボール女子Wリーグの富士通で4季プレーし、昨年現役を引退した田中真美子さん。投稿以前からインターネット上で「お相手」として名前が取り沙汰されていたが、球団がこの女性を田中さんと認めたという米CNNテレビの報道を待つまでもなく、写真を見れば一目瞭然だった。りりしくも穏やかな表情は、初めて彼女のプレーを見た7年前と変わらなかった。

2017年8月、日本バスケットボール協会は大学生世代の国際総合大会、ユニバーシアード(現世界ユニバーシティー大会)夏季大会を控える24歳以下の女子日本代表強化のため、カナダ、オーストラリア、米国の年代別代表との4カ国対抗大会を東京都で開催。ユニバが台北で行われるため、時差調整や暑熱対策の適地だった利点を生かして強豪を招致した。

当時の代表メンバーを改めて見ると、顔ぶれは実に豪華だった。前の月にフル代表の一員としてアジア・カップ3連覇に貢献した藤岡麻菜美、現日本代表主将で21年東京五輪銀メダリストの林咲希(富士通)、トヨタ自動車の20~21年Wリーグ初優勝の立役者となった安間志織-。ただカナダとの初戦を取材した際、個人的に一番目を引いたのが、当時早大3年の田中さんだった。

「4カ国対抗」の米国戦で、早大の1学年後輩の中田珠未(右、現ENEOS)と話す田中真美子さん=2017年8月、東京都大田区(奥村信哉撮影)
「4カ国対抗」の米国戦で、相手のマークにつく田中真美子さん(左)=2017年8月、東京都大田区(奥村信哉撮影)

センターで先発した身長180センチの田中さんは、長身ぞろいの相手とゴール下で何度も果敢に競り合い、チーム最多の6リバウンドをマーク。献身的なプレーで、79-54の快勝を支えた。試合後の取材時間が限られる中、私は迷わず田中さんを呼び止めて話を聞いた。

彼女の口から最初に出たのは反省の弁。「相手に攻撃リバウンドを取られるとよくないので、体を張れといわれていたが、結局何本かやられた」。それでも「日本の速攻を相手は嫌がっていた。速い攻めがうまくいった」と確かな手応えを口にしていた。

バスケットを始めたきっかけも尋ねた。小学生のころは空手を習っており、中学で部活動に入ろうとしたところ、「バスケかソフトテニスしかなかった」という。そこで中1ですでに172センチあった長身を生かせる競技として、バスケットを選んだそうだ。

この時期、チームには大きな発奮材料があった。アジア杯を制したフル代表だけでなく、東京五輪銀メダリストとなる赤穂ひまわり(デンソー)らを擁したU-19(19歳以下)代表も、U-19ワールドカップで過去最高の4位に入った直後だった。田中さんは「上も下も頑張っているので、やらないわけにはいかない。目標は金メダル」と意気込んでいた。ユニバでは惜しくも頂点には届かなかったが、50年ぶりとなる銀メダルを獲得した。

「4カ国対抗」の米国戦で、中田珠未(右)とベンチから戦況を見つめる田中真美子さん=2017年8月、東京都大田区(奥村信哉撮影)
「4カ国対抗」の米国戦後、スタンドに手を振る田中真美子さん=2017年8月、東京都大田区(奥村信哉撮影)

19年に富士通入りした田中さんは、東京五輪から採用された3人制の代表候補にも選出された。強化合宿中、ユニバ代表当時の話に触れながら、五輪への思いを聞いたこともあった。結局、東京五輪出場は果たせなかったが、まだまだ長く第一線で活躍するだろうと思っていた。それが22~23年シーズン後、富士通退団と現役引退が発表され、非常に驚いた記憶がある。

3人制代表候補合宿に参加した田中真美子さん=2019年11月、東京都北区(奥村信哉撮影)

富士通でも得点を量産するタイプではなかったが、コートに立てば黙々とチームプレーに徹していた。国内外から熱い視線を浴びる「大谷夫人」となっても、彼女なら冷静に対処していけるのではないだろうか。

大谷選手、真美子さん、本当におめでとうございます。取材時には大変お世話になりました。どうぞ末永くお幸せに-。(運動部 奥村信哉)

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