【ワシントン=大内清】バイデン米政権は11日、メキシコ国境からの不法移民流入を阻止するための新たな規制策を発表した。トランプ前政権が新型コロナウイルス禍を理由に導入した規制が同日深夜に失効するのに合わせ、移民希望者が国境地帯に殺到しているのを受けた措置。バイデン大統領は移民問題でのトランプ前政権の強硬な態度を批判してきたが、不法移民が急増していることへの危機感が国内で高まる中、より厳格な姿勢に転換した。
国境警備を主管する国土安全保障省のマヨルカス長官は11日、記者会見で「米国の国境は開いていない」と述べ、不法移民に厳しく臨む姿勢を強調した。
新規制策は、不法移民が米国に滞在するために申し立てることが多い亡命申請手続きの厳格化などが柱。申請基準に合致せず拘束された不法移民は原則として30日以内に送還され、5年以内に再入国を図った場合は刑事罰の対象になる。
バイデン氏は2020年大統領選で、不法移民に亡命申請を認めないのは「間違っている」として前政権を強く批判したが、今回の規制策は前政権が新型コロナ禍前に敷いた移民対策に近づく内容で、与党の民主党の一部では「厳格すぎる」との批判もある。
米メディアによると、メキシコ国境では最近、前政権が導入した規制が失効すれば米国への入国が容易になるとの噂を信じた不法移民が殺到し、1日当たりの拘束者が約1万人に達している。メキシコ側で越境の機会を待つ人の数は約15万人に上るという。
事態を受けて米国内では不法移民対策への不満が増大しており、米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、バイデン政権の移民対策への各種世論調査の平均支持率は35・2%で、不支持58・4%を大きく下回る。再選を狙うバイデン氏には、不法移民問題で「弱腰」と批判されるのを避けたい思惑があるとみられる。



