米ASEAN首脳会議閉幕 中国に後手、人権…課題残したバイデン政権

【ワシントン=大内清】バイデン米政権と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議が13日、閉幕した。共同声明は中国による海洋進出を念頭に、南シナ海の「平和と安定、繁栄」の重要性などを強調。中国に対抗するため東南アジアへの関与強化を打ち出しているバイデン政権にとり、会議実現は一定の成果といえるが、人権面でどれだけ各国に働きかけを行うかでジレンマに陥るなど課題を残す内容ともなった。

米ASEANは共同声明で、両者間の包括的な対話枠組みを建設・強化することなどを確認。ウクライナ情勢について、「敵対行為の即時停止と平和的解決に向けた環境作り」の重要性を訴えた半面、侵攻したロシアを非難する文言は盛り込まれず、国によってロシアとの距離感が異なるASEAN側の事情を反映したものとなった。

バイデン政権は首都ワシントンで初開催となった今回の会議の意義を強調するが、内容は準備不足の感が否めない。バイデン大統領と各国首脳の個別会談は設けられず、ASEAN議長国のカンボジアは「参加国に十分な敬意を示すべきだ」と苦言。バイデン政権は「首脳間で個人的に話す時間はある」(高官)と釈明に追われた。

米国が特に神経を使ったとみられるのが、人権問題への関与の度合いだ。たとえば米国内では、強権的なカンボジアのフン・セン首相への批判が根強く、ワシントンでカンボジア系市民が同首相に靴を投げつける騒ぎも起きた。他のASEAN諸国の多くも人権上の問題を抱える。

バイデン氏は外交政策の柱に人権や民主主義などの「普遍的な価値」を据える。だが、正面から人権問題を提起すれば各国の反発を招き、中国を利することにもなりかねない。結局、一連の会合は経済や再生可能エネルギー、海洋政策などが主な議題となり、共同声明で人権問題への言及は軍政下のミャンマー情勢に関する部分に限られた。

中国は昨年11月、新型コロナウイルス禍からの経済再建のため、ASEANに3年間で15億ドル(約1920億円)の支援を約束した。バイデン政権が今回表明した支援額1億5千万ドルの10倍だ。政府高官は「米国は質の高い投資や支援が可能だ」と語るが、中国に後れをとっていることは否定できない。バイデン氏は13日、各国首脳との会合で、会議を「成功だった」とした上で、「皆さんもそう思っていると信じる」と語った。

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