親イラン民兵組織の関与が焦点 イラク首相暗殺未遂

イラク・バグダッドにあるカディミ首相の住居前の破壊された車両(イラク首相府提供・ロイター=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イラクで起きたカディミ首相の暗殺未遂事件で、バイデン米大統領は7日、「イラクの民主化プロセスを傷つけるテロ攻撃を強く非難する」との声明を出し、イラク政府当局の捜査を支援する意向を示した。カディミ氏と対立する親イラン民兵組織が関与したかが捜査の焦点に浮上しつつある。

事件は7日、首都バグダッドのカディミ氏の住居で発生。攻撃には少なくとも2機の無人機が使われ、レーダー探知を避けるため低空で接近したもよう。当局は無人機の出発地を特定したほか、回収した無人機の部品の分析を進めている。

カディミ氏は声明で「私たちは彼ら(犯行集団)をよく知っている」とし、捜査を急ぐ方針を強調した。また、バグダッドの政治評論家はAP通信に、攻撃は「選挙で敗れた者がカディミ氏の首相続投を阻止するために行った」と述べ、親イラン民兵組織が関与したとの見方を示唆した。

10月10日に行われたイラク国会選では親イラン勢の議席大幅減が見込まれ、連携する民兵組織が反発。今月5日には支持者らが大規模な抗議デモを行って治安部隊と衝突し、少なくとも1人が死亡、数十人が負傷したばかりだった。

昨年5月に情報機関トップから首相に就任したカディミ氏はイラン寄りだった従来の政府の路線を転換、米国にも配慮する政策を進めた。このため、親イラン民兵組織との関係が悪化し、イラク駐留米軍の施設を攻撃する民兵組織を統制できない状態だった。

選挙ではシーア派有力指導者サドル師の政治組織が第1党の座を維持する見通し。米、イランの内政干渉を嫌うサドル師はカディミ氏と良好な関係にあり、同氏が首相を続投するとの見方も出ていた。議席確定後の連立交渉で親イラン勢が連立与党から外れるようなら、さらに緊張が高まる事態も否定できない。

イラクでは今年、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が自爆テロを行うなど再台頭の兆しをみせている。バイデン政権は今年末までにイラク駐留米軍の攻撃任務を終了する方針で、情勢不安定化を懸念する向きもある。

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