--認知症対策はどうあるべきか
「認知症にもさまざまな種類があるが、高齢化に伴うアルツハイマー型の認知症には効果的な治療薬がほとんどない。他方で、畑仕事をしている人や町内会などの活動に参加している人は認知症になるリスクが低く、進み方が遅いという報告がある。また、社会的地位の高かった人が介護施設に入ると、あっという間に認知症が進むという話はよく耳にする。治療薬を開発することも重要だが、高齢者がリタイア後に自由と役割を持ち続けられる環境を整えることも重要だ」
--「サ高住」から「シ高住へ」を提唱しているが、どういう意味か
「『サ高住』とは『サービス付き高齢者向け住宅』のこと。これに対して私たちが提唱する『シ高住』とは『仕事付き高齢者向け住宅』のことだ。『サ高住』は自宅で生活できない人のために居住空間と生活の支援をする施設。本人には役割がない。ただ生かされているだけ。他方、『シ高住』は、その施設から働きに出たり、施設の中に仕事を持ち込んだり、掃除や配膳(はいぜん)など施設の運営そのものに携わるというもの。『やることがある』というのは効果的な認知症対策になると思う。『社会的存在』といわれる人間にとって『自分が何の役にも立っていない』と感じるのは最大のストレスであり、このストレスから逃れるために認知症になるのではないかと感じている」
--なぜ経産官僚が医療にかかわっているのか
「日本は天然資源に恵まれないため、技術力を駆使して高い付加価値や品質で勝負しなければ1億人を超える国民が豊かに暮らしていけない。ところが、最も高い付加価値と品質管理が求められる薬と医療機器は悲しいほど輸入に頼っており、その規模は一貫して拡大している。日本の技術力や優れた品質管理は世界で高く評価されているのに、医療分野だけがほとんど応えられていない。また、世界で最も高齢化が進む日本において、生活習慣病や認知症の問題にどのように取り組むかは世界が注目している。こうした分野で世界をリードすることができれば、日本経済を支える新たな産業基盤を構築でき、世界における日本のプレゼンスを高めることができると考えている」
(政治部 坂井広志)



