少数野党が巨大与党に立ち向かうとき、審議拒否は限られた有効な手段のひとつだ。審議拒否は世論の批判を覚悟しなければならないという意味で両刃の剣ともいえるが、与党にも一定のダメージを与えられる。徹底的な審議拒否に出られると、与党側は多少の妥協を余儀なくされるケースが多い。
繰り返しになるが、民進党は目下、完全に「攻撃型」モードに入っている。にもかかわらず、その攻撃がぬるい。ここはひとつ、「提案型」をやめると宣言し、衆参で全面的な審議拒否路線に打って出たらどうだろうか。
民進党は、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議入りに徹底的に反対している。しかし、不思議なことに、それほどまでに反対しているのに、審議には応じている。
要は、「徹底抗戦」「与党の横暴は許せない」と言っておきながら、その抵抗が中途半端に終わっているのだ。そんなことでは支持率が上がるはずもなく、注目すら浴びない。
審議拒否をうまく活用した小沢民主党
参考までに平成20年の旧民主党に焦点をあててみる。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査によると、当時の民主党の支持率は政権交代への機運が高まっていたこともあり、30%に肉薄する高い数値で推移している(グラフィック参照)。
この支持率の推移に「全面審議拒否」のタイミングを重ねてみると、支持率はほとんど下がっておらず、むしろ上がっている時期もある。
当時、小沢一郎代表率いる民主党など野党は参院で過半数を握っており、現在と単純に比較できないが、徹底的な審議拒否が有効であることが見て取れる。
20年の通常国会は「ガソリン国会」と呼ばれ、ガソリン税の暫定税率をめぐって与野党が激突し、民主党はピケを張るなどの徹底抗戦に出たことで知られる。閣僚の失言や国会同意人事なども、政府・与党攻撃の材料として活用した。
それがいいとは言わないし、国会の空転には世論の反発もあったが、結果的に、政権交代への機運が高まったのは事実だ。
現在の民進党内には「審議拒否では国民の理解は得られない」という空気が支配的だが、何をやっても支持率が上がらない現状から脱するには、思い切った行動が必要だろう。
審議拒否は正当化されるべきものではないが、たまには与党から「妥協」を引き出すぐらいでなければ、有権者も相手にしないだろう。「提案型」野党を目指すのも結構だが、「攻撃型」の野党としてゼロから出直すことをおすすめしたい。



