衝撃事件の核心

34歳男の逮捕のきっかけは児童ポルノ検知システムだった 「児童ポルノ天国」の汚名を返上できるか?

児童ポルノとみられる画像約3万点を外付けハードディスクに保存していた相模原市の男性(34)が、児童買春・ポルノ禁止法違反の「単純所持」容疑で4月、書類送検された。大量の画像が発見されたきっかけは、男性が勤務していた外資系会社内の「児童ポルノ専用の検知システム」が作動したため。海外では以前から官民ともに児童ポルノ排除の機運が高く、同社もシステムの導入が全世界に先駆けた取り組みとして評価されていた。「児童ポルノ帝国」と揶(や)揄(ゆ)されてきた日本でも、対策の強化が求められている。

児ポサイトに接続で「警報」

「児童の性的虐待サイトにアクセスしようとしました」

男性が勤務する会社で、システムを管理する担当者のパソコン画面にメッセージが表示された。社員が社用パソコンで、児童ポルノ画像を閲覧していることを意味する。会社側はこのアラームを受け、昨年8月、警視庁に情報提供した。

男性の書類送検容疑は1月29日、自宅で10~12歳児のものとみられる児童ポルノ画像2点を保存した外付けハードディスクを所持したとしている。男性はハードディスクに画像を保存し、会社のパソコンでも閲覧していた。男性は「性欲処理のためだった。児童ポルノに興味があった」と容疑を認めている。

検知システムのソフトは児童ポルノ対策専門のスウェーデン企業が開発したものだ。全社員の社用パソコン内のウェブの検索履歴やメール、ハードディスク、メモリスティックを読み込み、児童ポルノの閲覧状況をチェックする。

ソフトでアラームの対象となる児童ポルノ画像は、国際刑事警察機構(インターポール)やインターネット監視財団(IWF)が提供する情報を基に指定。同社のまとめでは、ソフトを導入する顧客企業では、パソコン1千台に1台程度の割合で、違法な画像が見つかっているという。

男性が勤務していたのは外資系通信大手の日本法人で、全世界の大企業をにに先駆けてこのソフトを導入したとされる。ソフトは海外では企業のほか政府や学校でも導入されている。一方、日本では通信業者やプロバイダが問題サイトへのアクセスを遮断する対策が主流。国内でソフトを販売するマクニカネットワークスの担当者は、「日本では個々の企業が予算を投入してまで社内をチェックする動きはほぼない」と話す。

国際的に非難…「野放しにすべきではない」

「『ついに』日本が重い腰を上げた」。児童ポルノの単純所持を禁じる26年6月の法改正を受け、多くの欧米メディアはこう報じた。

米国務省の「2013年国別人権報告書」では、「日本は依然として、児童ポルノの製造および取引の国際的な拠点であった」とされた。14年4月時点で単純所持が約90カ国以上で禁止される中、日本の取り締まりが甘いという認識は広まっていた。

法改正で各国と一定の足並みをそろえた形だが、厳しい見方はまだ続く。国連の児童ポルノに関する特別報告者、マオド・ド・ブーアブッキオ氏は昨年10月の日本視察後、露出度の高い衣装で写る「着エロ」を非難したほか、子供を極端に性的に描いた漫画を禁止するよう呼びかけた。

カナダや米国などでは、二次元の児童ポルノも禁止している。性描写に限らず、日本のアニメやゲームに見て取れるロリコン表現を好ましくないとする向きも多い。

今年3月、東京地裁判決では実在の女児の裸を描いたコンピューターグラフィックス(CG)も児童ポルノと認定したが、これらについてはその都度、「表現の自由」の議論が持ち上がり、漫画などについては今改正でも規制を見送られている。

日本ユニセフ協会の担当者は、「子供の虐待を野放しにすべきではないというのは国際社会の共通認識。日本も先進国として各国に理解を得られる法整備が求められている」と話している。

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