北朝鮮の「正史」には、金正日(キム・ジョンイル)は、父、金日成(イルソン)が抗日戦の最中、民族の聖山と位置付けられる白頭山(ペクトゥサン)の麓で誕生したと記される。だが、実際には、旧日本軍の攻勢から落ち延びた先の旧ソ連極東地域で生まれた。
「1940年秋は、普通の秋ではなかった。われわれが経験した紆余(うよ)曲折を語ろうとすると、数冊の長編小説を書いても足りないほどだ」。日成は回顧録にこう書き残している。
40年10月、日成率いる抗日パルチザン部隊は、日本の関東軍に追われていた。関東軍は、約7500人の兵力に航空機まで投入して抗日武装勢力の掃討作戦を繰り広げていた。