荒川の急流と景色を楽しめる「長瀞ライン下り」で知られる県内有数の観光地、長瀞町が移住政策を強化している。町の最重要課題と位置づけ、移住希望者のニーズに合わせた個別ツアーや出張相談などに乗り出して移住を後押し。加速する人口減少に歯止めをかける狙いで、旗振り役の大澤タキ江町長も「若い人に住んでほしい」と呼びかけている。 (岡田浩明)
町はこれまで、東京都心から約2時間で豊かな自然に触れあえる地理的なメリットを売りに、都会と自然の両方を満喫できる「ハイブリッド移住」と銘打って教育や住宅分野などで支援策を打ち出してきた。しかし、人口は増えるどころか、減少傾向に歯止めがかからない。
平成29年策定の町総合振興計画で描いた将来の人口展望によると、人口は緩やかに減少し、令和8年には7千人まで落ち込むと推計した。ところが、今年12月1日時点で6999人と、推計よりも速いスピードで7千人の大台を割り込んだ=グラフ参照。移住者数以上に、出生数が死亡数を下回る「自然減」が増え続けているからだ。
加速度的に進む人口減少に危機感を強めた町は、今年度から移住政策に力を入れる。移住希望者向けの個別ツアーは、名所めぐりや移住経験者との意見交換など定番の移住ツアーではなく、個々の希望に応じて柔軟にツアー内容を組むように見直した。
町役場には移住専門相談窓口も開設し、ワンストップで対応できるようにした。一方、「待ちの姿勢」ではなく、移住希望者側に町職員が出向く出張相談も始めた。
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■移住者を地域おこし協力隊員に
長瀞町は、10月下旬に東京都内から町に移住した暮林まどかさん(42)を地域おこし協力隊員に起用した。観光客をターゲットとした土産品の開発に取り組むなどして町の魅力を発信してもらう。
夫(43)とともに都内で飲食店を切り盛りしていた暮林さんは以前、秩父市の「お試し移住」を経験。これを契機に移住を真剣に検討するようになった。そんな中、「子供のころから家族でキャンプ場などに遊びに来ていた」という長瀞町の隊員募集サイトを見つけた。移住を伴うが、思い切って挑戦したという。
隊員として町との契約は最長3年で、暮林さんは土産物開発に向けて市場調査などに取り組む。町の印象については「山の色合いの変化がいい。自然豊かで暮らしやすい。イチゴ農家で働く夫も楽しそうにしている」と笑みを浮かべ、こう続けた。「『移住してみたいな』と思い始めた人の背中をそっと押してあげられるような活動もできたら、と思っている」



