訪日客消失で商業地下落 「ホテル過剰」の名古屋鮮明

 今年の都道府県地価(基準地価)調査で、上昇が続いていた全国の商業地に歯止めをかけたのは、訪日客で活況だったホテル需要の減少を始めとする、新型コロナウイルス禍による経済の停滞だった。下落が大きかったのは名古屋圏の商業地だが、訪日客の消費意欲に支えられた店舗が並ぶ繁華街を持つ東京や大阪の商業地の基準地でも新型コロナの影響による地価の低迷が浮かび上がった。

 名古屋圏の商業地はマイナス1・1%で、最も下落幅が大きかったのは名古屋市中区栄の基準地のマイナス8・9%だった。一方、同区千代田の基準地は、調査期間前半の令和元年7月から2年1月までに10・5%上昇したが、2年1月から7月までの後半で、マイナス6・3%の下落に転じるなど新型コロナの影響が明確に出た。

 国土交通省によると、名古屋圏の商業地で下落が鮮明だったのは、飲食店や物販店などが立ち並ぶ中心部。新型コロナが流行し始めると、外出自粛や休業要請の影響で経済活動は停滞を余儀なくされた。経済活動の自粛は名古屋に限った動きではないが、名古屋圏の商業地にコロナの影響が直撃したのは、これまでホテル需要が地価を引き上げてきたからだという。

 名古屋ではここ数年、新規のホテル開業が相次いでおり、国交省の担当者はホテル供給に「過剰感があった」とも指摘する。そんな中、新型コロナの感染拡大を受け宿泊需要が消失。地価を牽引してきた需要が吹き飛んだ反動もあり、大きく下落したとみられる。

 失われた訪日客需要の影響は、東京圏、大阪圏の商業地にも出ている。銀座や新宿駅周辺のほか、大阪駅周辺などでは、これまでの上昇傾向から上昇幅が縮小したほか、下落に転じた基準地もあった。

 不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(東京)リサーチ事業部の大東雄人ディレクターは、訪日客による需要の恩恵を受けていた繁華街の商業用不動産は「かなり傷んでいる」と話す。新型コロナの影響で飲食店など多くの事業者が賃料の支払いに苦心する中、不動産価格を決める要素の一つである家賃収入も不安定化している。(岡田美月)

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