主張

韓国憲法裁「却下」 文政権は国の約束を守れ

 慰安婦問題の日韓合意を「違憲」だとする元慰安婦らの訴えを韓国の憲法裁判所が却下した。

 だが、その理由を聞くと呆(あき)れるばかりだ。憲法裁は日韓合意が法的な履行義務のない「政治的合意」にすぎず、効力も不明だとしたからだ。

 国際法を守るべき韓国政府をたしなめてしかるべき憲法裁が、正当な国家間の合意を否定するのは間違っている。国同士の約束を守るという信義など、どうでもいいのか。これでは諸外国も韓国政府と約束ごとは結べまい。

 文在寅政権は合意を完全に履行しなければならない。

 韓国では最高裁とは別に、憲法裁判所が置かれ、憲法に関わる案件を審理している。今回の訴訟は慰安婦問題で「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった平成27年の日韓合意に対し、元慰安婦らが起こした。合意により日本側に賠償を求める道が閉ざされ財産権などが侵害されたほか、合意内容が十分に説明されず、知る権利が侵害されたなどと主張していた。

 もともと、昭和40年の日韓国交正常化に伴う請求権協定で、日本は韓国に無償3億ドル、有償2億ドルを支払った。韓国側は個人補償は韓国政府の責任で行うと明言している。すべて解決済みで、いわれのない要求である。

 憲法裁が日韓合意は「政治的合意」にすぎないとしたことを盾に、請求権が残るかのように主張するのも誤りである。合意内容などが十分説明されたか、されないかにかかわらず、すべては韓国政府に責任がある。

 慰安婦問題で日本政府はできる限りのことをしてきた。

 日韓合意に基づき、日本政府が拠出した10億円を元に、元慰安婦のための「和解・癒やし財団」が韓国で設立された。元慰安婦の7割以上が財団による現金支給事業を受け入れた。その財団を一方的に解散したのは文政権だ。

 いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁は日本企業に賠償を命じた。憲法裁の判断はこれと同根だ。人事への介入など法を恣意(しい)的に運用してきた文政権の意向に沿い、韓国側の合意不履行や白紙化まで正当化するのは理不尽この上ない。

 日韓合意は東アジアの安全保障上の懸念が強まる中で関係改善を目指してかわされた。日韓関係の悪化で喜ぶのは誰か。合意を守らず国益を害すのは韓国なのだ。

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