大阪公立大の研究チームは、超音波を照射して発生したマイクロバブル(細かい泡)により肝臓のがん細胞を破砕する、日本初となる治療法の特定臨床研究を開始したと発表した。メスや針を使用する従来のがん治療と比べて身体への負担が少なく、高齢者や早期の社会復帰を希望する患者への新たな治療の選択肢として期待される。
研究を進めるのは、肝胆膵外科医で同大の石沢武彰教授らの研究チーム。肝細胞がんや肝臓に転移したがんに罹患(りかん)した患者が対象で、既に2人の患者への治療が行われた。今後効果や安全性を検証し、公的保険の適用や来年中の薬事承認を目指すとしている。
治療法は「ヒストトリプシー」と呼ばれ、専用の装置を用いて超音波を一点に集中して照射することで肝臓内に発生させたマイクロバブルが膨張、収縮することで生じる衝撃波でがん細胞を破砕する仕組み。治療後は出血の有無などを確認し、異常がなければ翌日に退院ができる。米国など海外では2000人を超える治療実績があるが、国内では初めての実施となる。
肝細胞がんや、肝臓に転移したがんの根治には、手術のほか、細い針のような電極を刺して熱でがん細胞を死滅させる「ラジオ波焼灼療法」などが一般的で、数日~10日ほどの入院が必要。同大によると、がん患者の高齢化が進む日本では身体への負担に配慮して十分な治療を行うことができないケースもあるという。
石沢氏は「新たな治療法は、高齢で手術ができない人にも治療ができたり、若い患者が早めに社会活動に戻れたりすることにもつながる。患者の治癒への道を開きたい」と話している。




