女子大開学30周年 地域連携強化などで学びを深化 十文字学園女子大 安達一寿学長に聞く

地域社会になくてはならない大学を目指すと話す十文字学園女子大の安達一寿学長=埼玉県新座市(那須慎一撮影)

埼玉県新座市で短大開学から60年、女子大開学から30年の大きな節目を迎えた十文字学園女子大学。少子化の影響からより選ばれる大学になる必要がある中、専門性を高めた学部の改革や、地域企業と連携した学びの深化など差別化に磨きをかける。安達一寿学長に現状の課題や新事業の狙い、目標などを聞いた。

社会連携拠点を新設

-十文字学園女子大が開学30年の節目の年となったが率直な思いは

「本学の前身は大正11(1922)年に設立された高等女学校で、今年で104年の歴史があります。60年前に新座の地に短大を設け、30年前の平成8年に4年制大学を作りました。創始者の十文字ことの建学の精神『身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ』に基づき、知識の修得にとどまらず、心身を鍛え、豊かな人間性を養い、社会に貢献できる人材を育成してきました」

--周年記念事業で新たな拠点「ここプラス(社会連携センター)」の整備を行ったが、意義や狙いは

「最大の狙いは社会との連携・交流の拠点をキャンパス内に作ることです。平成26年に大学と地域社会が連携して地域課題を解決し、地方創生を推進するための文部科学省の施策『COC事業』に女子大学として2校だけ採択され、それを契機に地域社会との交流のハブになろうという考えが生まれました。そのような中、社会連携の拠点として新設しました。学生が社会との接点を持つことが重要で、外に出て学ぶことが学生の成長につながります。少子化が進む中で本学の特色として社会や地域の活動を強化し、地域社会の人たちが集える場を作ることで連携交流を促進したいと考えています」

「面倒見の良さ」大切に

--少子化が加速する中で大学はどう対応すべきか

「令和17年頃から見込まれる急激な少子化は、どの大学にとっても存亡の危機です。しかし、これを本学の教育を見直すいいきっかけと捉え、教育の質をアップグレードし、進化させることが重要と考えています。選ばれる大学になるためには特色を出し差別化が必要で、3つの施策を進めています。1つ目は、入学前から卒業後も学生に寄り添うサポート体制『ことサポ』、2つ目に社会連携による問題解決型学習『実践思考の学び』の提供、3つ目に、きめ細かい指導が必要と考えます。現時点で学生満足度90%を誇る『面倒見の良さ』をさらに強化することが重要でした」

--令和9年度に3学部から5学部へ再編するが狙いは

「高校生から見て何を大学で学べるかを明確にし、専門性を磨きやすくする狙いです。現行の教育人文学部を教育学部、心理学部、文学部の3つに分けます。教育学部は、幼稚園教諭や保育士、小学校教諭、特別支援学校教諭などを育成します。心理学部は、養護教諭の免許が取得でき、公認心理師取得のための基礎教育を行います。文学部は、中・高等学校教諭(国語)、学芸員、司書などの資格取得をサポートします」

--中長期的にどのような大学を目指すか

「学生自身が自ら考えてしっかり成長でき、地域社会にとってなくてはならない大学を目指します。学生が毎日ウキウキ、ワクワクしながらキャンパスライフを送れるよう、勉強だけでなく社会活動やサークル活動も安心・安全にできる環境も整えたいと思います。予測困難な時代でも、自分自身の軸をしっかり持ち、しなやかに生きていく力を身につけてもらいたいと考えています」(聞き手 那須慎一)

学内に学生と地域社会との交流拠点を新設した=埼玉県新座市(那須慎一撮影)

■あだち・かずひさ 博士(教育学)。平成2年3月東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。同年4月十文字学園女子短期大学助手。その後同大社会情報学部助教授(准教授)、同学部教授、人間生活学部メディアコミュニケーション学科教授などを歴任し、社会情報デザイン学部社会情報デザイン学科教授、同学部長。同大副学長を経て、令和7年4月から現職。専門は教育工学、教育情報学。日本教育情報学会会長。

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