与野党は21日の衆院憲法審査会で、大規模災害などに備えた緊急事態条項の憲法への創設を巡り改めて議論した。自民党は内閣が法律に代わり「緊急政令」を制定できる規定の必要性を主張したが、国民民主党は慎重論を展開した。一方、日本維新の会は自民が意欲を示す参院選「合区」解消の改憲に後ろ向きな意見を表明。改憲項目をめぐり、憲法改正に前向きな3党のズレが表面化した。
衆院憲法審は21日、緊急事態条項を憲法に明記した場合の改正条文イメージ案を巡り、2回目の討議を行った。中道改革連合の国重徹氏は、イメージ案が論点を可視化したと一定の評価を示しつつ「それぞれの論点を詰め切るにはさらなる議論が必要だ」と語った。
一方、自民の新藤義孝氏は緊急政令には国民の生命や財産を守る意義があるとして「当然備えるべきだ」と主張した。「内閣の権限をいたずらに強化するものではない」とも説明した。ただ、国民民主の玉木雄一郎氏は「緊急政令に議論を広げると論点が拡散する」として、緊急事態条項のうち、すでに議論が煮詰まっている国会議員任期延長措置に絞るべきだと強調。その上で、合区解消の議論には肯定的な見解を示した。
合区解消は緊急事態条項創設に慎重な参院側も必要性を認めるテーマで、参政党の和田政宗氏は「衆院憲法審でも議論を行うべきだ」と玉木氏と歩調を合わせた。自民内にも「多くの野党の理解を得やすい」(中堅)との見方がある。 もっとも、改憲に前向きな全政党の足並みがそろっているわけではない。一院制(衆参両院の統合)を掲げる維新の阿部圭史氏はこの日の衆院憲法審で、議論の必要性は認めつつ「優先順位が低い」と強調。維新幹部は「合区解消の改憲には反対だ」と明言する。
高市早苗首相(自民総裁)は4月の党大会で、党是の憲法改正について「時は来た」と訴えた。だが、改憲政党間の認識の違いが表面化する中、参院自民のベテラン議員は「本当に時が来ているのだろうか」と不安を吐露した。(大島悠亮)




